三重県の亀山駅から紀伊半島をグルっと周って和歌山市駅を結ぶ紀勢本線

昨年、JR西日本が、白浜ー新宮は輸送密度が2000人/日未満であることから、存続について廃止を含め地元と協議に入りたいとの意向を示しました。

ここは黒潮躍る風光明媚な区間でとても気に入っているだけに、大変ショックなニュースでした。

また、勝浦や串本などの観光地がある上、1978年10月改正により、「やくも」に続き「くろしお」に381系の振り子式車両が導入されるなど、華々しいイメージがあっただけに意外に感じました。
381系くろしおのオレンジカード

当時の時刻表
(裏面は片平なぎささんですね。)

ところで、新宮から東側の新宮ー亀山は非電化であり白浜ー新宮よりさらにローカルな印象がありますが、東海道新幹線の潤沢な利益により守られているためか、今のところJR東海はこの区間の収支などについて具体的にコメントしていません。

しかしながら、実際にはかなり厳しいものと思われます。

JR東海の路線でも、名松線みたいなローカル線ならともかく、紀勢本線のような幹線でも廃止があり得るのか?

(梅ケ谷駅付近)


そこで、まずは地域の足としての状況について、紀勢本線の最後の開通区間である新鹿ー三木里から、賀田駅をピックアップして考えてみたいと思います。

(賀田駅)2022.6.4


前述しましたが、賀田駅は紀勢本線の最後の開通区間の中間にあり、1959年7月15日に開業した駅

当時の時刻表(復刻版)

当初は有人駅でしたが、1983年12月に無人駅に。


さて、三重県の統計によると、

開通翌年の1960年の一日あたりの乗車人数は547人 


あと5年毎に

1965年  893人

1970年  742人

1975年  673人

1980年  471人

1985年  385人

とここまではそれなりの乗車人数ですが、

ここから一気に崩れ出し、


1990年  193人

1995年  241人

2000年  136人

2005年  107人

2010年    63人

2015年    44人

2020年    24人

と1990年以降は大崩落と言ってもいいくらいの減少となり、


公表されている最新の2021年のデータではさらに減少して、22


これは最盛期の1965年の893人と比較すると、僅か2.5%


現在、上り下りとも1日に10本ずつ計20本の列車が設定されているので、実際には偏りがあるのでしょうが、単純に割ると1列車あたり僅か1人の乗車ということになります。


コロナ禍の数字であることを考慮しても、惨憺たる数字と言えそうです。


これはかなり厳しいですね…。


さて、この要因について、

もう少し広い視点で見ていきたいと思います。


〜#2に続く