新・競馬場のうつろい(序の序) | 還暦フリーランサーのおしゃべり処

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元競馬専門紙記者/旧ブログ~「オヤジの競馬倶楽部」~
(ヘイトスピーチはご勘弁)

  ​完敗の弁?

 千葉セリの2日間はもちろん、ヴィクトリアマイル当日の東京競馬場でもいろいろ感じたことがありましたので、2日経ってますが例によっての備忘録です。

 

 12日午後すぐの頃の東京競馬場。

 

 混んでるのか空いてるのかわかりにくい画ですが、メインのパドックでハッキリしました。周回が始まった後にダメ元でパドックに向かいましたのに、それなりの位置で見ることができましたから。多分、お客さんは少なかったんでしょう。体感としてはそうでしたね。

 

 で、体感を言えばヴィクトリアマイル。単勝二万円超の馬が勝ち、2着馬も4番人気。感じ方は人それぞれとは思いますが、これで3連単100万円に届かないのは安い感じがしませんか?(ルメールとモレイラの2頭軸マルチの総流し、とかを決行したファンが一定数いたんでしょうか?)。

 

 レース内容についてはいいでしょう。どんなに人気薄の馬だったにしても、勝ち方が圧倒的に映ることはままあることで、そうなると「本当に強い勝ちっぷり」で、ただただ「脱帽するしかない」と。そういう結果でした。

 個人的な馬券の方も、本命に期待したマスクトディーヴァに直線で何もなかったとしても、勝ったテンハッピーローズがノーマークではどうしようもない。

 

 ただ津村ジョッキーは良かったなあ、と思いますし、ナミュールと藤岡康太の物語に、余計なエピソードが入り混まずに済んだのも、それはそれで前向きに考えられるのかな、と思います。

 

  ​ファン気質?

 パドックから戻って一般席で観戦場所を確保すると、すぐ横に小型カメラを構えた男の子が、馬券を見せながら能書き語る別の男の子を撮影しておりました。スタンドの中でしたけど、タレントさんみたいな振る舞い方で、周囲を気にするところはなく、全然平気なんですなこれが。

 

 彼らの後ろにはちょっと酔っ払った男性が、

 「牝馬ばっかりだからな、荒れるに決まってるよ」

 と、よく居る〝独り言オヤジ〟ふうに、テキトーな馬名をブツブツ口にしていて、

 「あぁ、いつも取られてるんだろうなあ」

 と思ってたらファンファーレ。

 

 で、結果がアレ。

 

 ユーチューバー?がどうしてるか興味深かったのですが、なんか肩を寄せ合って反省会?なのかな?みたいなやりとりをしてるのみ、でした。

 かと思ったら、その奥で赤ら顔のオヤジさんが連れ(がいた)の女性にニコニコ顔で馬券を見せながら、大きなジェスチャーをまじえた勝利宣言…。

 憐れがられるのは、呆然とみていたこちらでした(切ない)。

 

  ​居場所の問題?

 ただ、このところ感じるのは、競馬場の空気の変化。先のユーチューバー?の2人はさておくとしても、若いお客さんのファッションや立ち居振る舞いや、自分より少し年下かな?くらいの年代層のお客さんまで、自分が知っている競馬場の人達とは、〝纏っている雰囲気〟が違うような気がする……。

 

 極論を言えば、上京後の大学時代、孤独感を和らげてくれる〝唯一無二〟の場所、と思っていた競馬場が、どうもしっくり来ない感じになっている。いや逆に今は、孤独感を感じさせられる空間になったのではないか、と感じる部分がある。自分にとっては結構深刻な問題です。

 

 これ、実は業界の内外を問わず、競馬を愛した先輩方の多くが、その時代時代に似たようなことを口にされてきました。自分がそれだけトシをとった、ということか、とも思います。

 と同時に、やっぱり記者席(と言うかそっち側にありがちな独特な視点)から長く競馬を見続けたことによって生じた負の部分が、どこかで影響しているのではないか、と思うところがあるかもしれません。記者席から離れたことで、見え方、感じ方、が替わってきて不思議はない……みたいな。

 

 

日が暮れて

 ヴィクトリアマイルが終わって、最終レースを観てから引き上げるだけの時間的余裕がなく、それでもさっさと帰るのは名残惜しく……。ということでフジビュースタンド3階から府中競馬正門前駅に直結する連絡通路に立って、しばらくぼんやりとパドック脇のお客さんの動きを見ておりました。

 そこへスタンド1階から出てきた3人組の男の子達。顔を合わさず足早にズンズンと出口に向かいます。

 あまりにわかりやすく、「あぁ取られたんだな」と微笑ましく同調して見てました。と、直後に1人がおもむろに帽子を取って、地面に思い切り叩きつけたのです。一瞬3人の歩みが止まりましたが、すぐに拾って砂を払って被り直すのを、連れの2人が笑いながら見て、また足早に駅の方へ……。

 

 こういう光景が競馬場にもまだあったのか……、と、何だか複雑な思いを抱き、12Rのパドックの馬達に後ろ髪を引かれながら帰路についたヴィクトリアマイル当日でした。

 

 

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