GCM郡山に行ってきました その7 ~第4部編(上)~ | 正直、スマンカッタ!

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フリーランスライターSATOの仕事&プラペの記録。

 我々が居続けている和室は、入口を背にして右側が展示場、左側には休憩場が設けられていた。室内中央に設置された展示パネルが、左右を分けている格好だ。左はスタッフ用かと思って近づかなかったのだが、しばらくすると、テレビモニターの前に2~3人が座って黒猫センセの講演を見ているのに気付いた。あ、しりあがり寿センセもいるわ。

 昨日と同様、モニタールームとして開放しているらしい。放射線測定器にかんする談笑を終えた我々一行は、涼みながら黒猫講演でも見るかと、モニターの前に陣取る。あぐらをかいてリラックスしていると、スタッフの一人が「お菓子どうぞ~」と煎餅だのを差し出してくれた。

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 ぼりぼり食べながら黒猫センセの話に耳を傾ける。途中からだから頭に入ってこないな・・ これも動画配信に期待しよう。ただ、断片的に聞こえる言葉が、「エコエコアザラク エコエコザメラク エコエコケルノノス エコエコアラディーア」的な呪文のように思える瞬間が何度も訪れる。

 「わかんねーよ!」
 呟くと、ロフグレンさんら周辺の人たちが笑う。あー。そうか。みんな同じ気持ちなんだな(笑) 通訳を期待したキクマコさんは、どうやら測定ワークショップに行ったらしい。講師ではなく、参加者として。自由だな…。

 そうこうしていると、目の前にキュウリの浅漬けが出てくる。もちろん、福島産の取れたてキュウリだ。遠慮せず、一本つまんで、黒猫講演を眺める。夏、爺婆がいる会津の家に遊びに行くと、お茶請けにキュウリが出てくることがよくあった。子供の頃はキュウリが大嫌いだった俺には、到底理解できない習慣だったが、今はキュウリのさっぱりとした味が、暑い夏になることがよくわかる。

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 昨日のバーベーキューでも、農家の官野さんちの採れたてキュウリを食ってきたが、あれはうまかった。今日のキュウリも負けず劣らず新鮮だ。採れたては「シャキ」じゃなく「ポキッ」と音がする気がする。みずみずしいその味わいはもちろんのこと、食感の軽快さも涼しい気分にしてくれる。福島はキュウリの生産量ベスト3に入るという。先人たちの夏の知恵に感謝だ。

 って、俺、何しに来たんだ…
 キュウリつまんで雑談しながら、テレビを見て、挙句の果てに少し寝そうに(ry 黒猫講演、断片的にしか頭に入ってないぞ(汗 ま、司会の橋本さんの声で起きたけど。真下の会場にいるのに本物にはお会いできなかったが、声、素敵です、声。

 グダグダやっているうちに、一つの選択を迫られる。同じ時間帯に第3部「生産者・流通業者とともに考える」と第4部「福島のみなさんとざっくばらんにお話しする会」が行われるので、どちらかに参加するか決めなくてはならない。第3部は早野教授、野尻教授に加え、官の立場から細かく情報発信している農水省畜産部の原田さん、郡山の農家の藤田さん(ほぼ日刊イトイ新聞のこちらなどを参照http://www.1101.com/tohoku_shigoto/fujita/index.html)ら登壇する予定だった。逞しく福島の農業を支える藤田さんの話はぜひ聞いてみたかったが、後に動画配信するというので、 “その場限りの話”に留める第4部に参加することにした。昨日の福島会場の報告を見ると、かなり赤裸々な話がなされたこと、安積さんも4部に出るようなので生でどんな意見をおっしゃるか興味があったことも決め手になった。

 第4部はキクマコさん(菊地誠/大阪大学教授)、尻Pさん(野尻抱介/作家)のほか、奥村晴彦さん(三重大学教授)、鈴木みそさん(漫画家)、しりあがり寿さん(漫画家)、小峰公子さん(ZABADAK/アーティスト)、八谷和彦さん(メディアアーティスト)らが、福島県民からの意見を伺うという形で行われた。福島の支援や放射線の実状を探る活動に取り組んできた方々である。現状、俺は福島県民ではないので、あくまでも聞き手の一人としてその場にいることにした(大勢の前で落ち着いて発言する自信もないが)。入れない人がいたら席を譲るつもりだったが、和室だったので詰めたらなんとなかったようである。

 最初に講師陣の自己紹介から。これが結構、テキトーな感じで、キクマコさんは何故かテルミンを演奏し始める。
「1回に付き6時間くらいかかる放射線に関する勉強会を実施しています。田崎先生よりわかりやすくを目標に、野尻美保子先生よりはわかりやすい内容になっています」という衝撃発言もなさっていた。

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 尻Pは
「酪王カフェオレと酪王ハイカフェオレ、どっちが好き?」とのアンケートを取ったりした。酪カフェは福島県名物のコーヒー牛乳。ただ、俺は地元会津の「べこ乳コーヒー特急」派なので、手を挙げなかったもんね!(ふん) 

 ちなみに講師の一人、鈴木みそさんの「僕と日本が震えた日」http://www.amazon.co.jp/%E5%83%95%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8C%E9%9C%87%E3%81%88%E3%81%9F%E6%97%A5-%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A6%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E9%88%B4%E6%9C%A8-%E3%81%BF%E3%81%9D/dp/4199502866は第一回目のGCMの様子をはじめ、放射線情報がわかりやすく描かれているのでオススメですわ。

 さて、便宜上、講師としたが、この方たちはあくまでも聞き役。主役は観客である福島県民である。リアルに生きる福島県民が、何を考えているのか。それを聞く場なのだが、福島の人は、シャイ過ぎるがゆえに、なかなか話をしようとしない。実際、前日の福島会場でも本音が出てくるまで相当時間がかかったという。そこで郡山会場では、司会の八谷さんのご指名もあって、順一さんが口火を切ることになった。

 郡山市の塾講師で、大学院で物理を学んできた順一さんは、震災直後から妥当な線での放射線情報発信に努めてきた。(参照「放射能について学ぼう」http://dl.dropbox.com/u/47386394/%E3%80%8C%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E5%AD%A6%E3%81%BC%E3%81%86%E3%80%8D%EF%BC%881%E6%9C%88%EF%BC%97%E6%97%A5%E3%83%BB%E6%94%B9%EF%BC%89.pdf

 「県外の人たちが福島県を支援してくださってありがとうございます」
 と順一さんは今日、集まってくれた講師陣に感謝の意を伝える。さすが何度も講演を開いているし、そもそも本業は塾講師だけに、大勢の前でも喋り慣れているなぁ。口下手がデフォルトな福島県民の中では貴重な人材だ。
 
 震災前から放射線オタだった尻Pは
「放射線が好きでやってるんだからね! 福島県のためにじゃないんだから」とツンデレで返してきた(笑) 尻Pのノリはいいね。

 今回はここまで。たぶん、残り2回ってとこかな。