GCM郡山に行ってきました その5 〜ワークショップ編(下)〜 | 正直、スマンカッタ!

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フリーランスライターSATOの仕事&プラペの記録。

 さて、今回も計測ワークショップに触れていくが、あまり写真をUPしなかったので、いくつか出しておこう。まずは【ポイント6】を測ったときのもの。各ポイントにこの標識が置かれていて、矢印の1mの高さあたりで計測していった。

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 前回の測定値では0.844μSv/hだったが、写真では0.935μSv/hとなっている。でも、ねつ造じゃないからね(笑)より線量が高かった【ポイント5】から移動した直後に撮影したせいで、この数値が出たのである。正確な数値がほしいなら1分待たなければならない。放射線測定器を扱うのなら、急いては事をし損ずるのである。※待った後に写真撮ればよかったじゃん、というツッコミは拒否!

 で、次の写真は今回のハイライト。たまたま近くに文科省が設置したであろうモニタリングポスト(MP)が設置されていた。予定の10ポイントに入ってはいなかったのだが、参考までに測ってみたところ、これが人によって大きくぶれたのだ。

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 MPは陸上競技場のサブグラウンド東側の端っこに設けられていた。写真奥にうっすらと映っているが、除染していないであろう草むらがあり、その横にコンクリートの道が続く。写真の背後はグラウンドであり、ここは(おそらく)除染がなされている。

 俺が立っていたのはMPに向かって左側。草むらに近く、グラウンドには背を向けていた。MP自体は0.458μSv/hを指していたが、俺の測定器では平均0.485μSv/h。最大値で言えば、0.5μSv/h近くまで跳ね上がった。しかし、俺の右手のいたロフさんは、だいたいMP通り。さらにその右手にいた参加者2人は0.3半ばを示していた。同じ測定器を使っているのにもかかわらず、示す数値が大きく違っていたのだ。

「ここは測るのに適さないですね。数値が安定しない」と一宮さん。除染した土のグラウンドと、除染がしにくいとされるコンクリートが並び、どうしても高めに出る草むらも広がる。周辺の線量がまちまちなのだから、放射線測定器の数値もまたブレてしまうのである。

 それにしても、「除染した場所にMPを置くのはいかがなものか」という意見は未だに散見される。MPは除染していない草むらに置けばいいのか? 手つかずの山林に置けばいいのか? それならば、今までより、高く数値は出るだろう。しかし、人が長い時間を過ごさない場所を測ったところで、破滅主義者の心を満たすこと以外、そのMPに何の意味があるのだろうか。無論、場所によって大きく数値が揺らぐ以上、様々な場所の数値を報告していくべきだが、「生活するための場を測る」という視点が置き去りになっていけない。

 ――というようなことは、福島の人たちが口を酸っぱくして何度も言及しているはずなんだよねぇ。ちなみに開成山公園のMP、除染したグラウンドの真ん中に持っていけば0.2台ぐらいになるだろう。それをわざわざ端っこの0.4台になる場所に置いているのだから、数値高めを期待する人にとっては、満足できるMPではないでしょーか(棒)

 【ポイント9】【ポイント10】の紹介がまだだった。【ポイント9】はがくと館の二重自動扉の内側。数値は0.43μvSv/h。外と室内の中間ポイントの実例として計測地点に加えられたようだ。【ポイント10】は植込みと壁の間にある外側通路である。以下の写真はその風景。

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 【ポイント10】は、コンクリートの壁と植込みの影響で数値がブレるので計測はしなかった。測りにくい場所もあるということを理解するためのポイントだったようだが、MP周辺の方がブレ幅が大きかった気がする。きちんと計測しなかったので、数値はメモせず。0.8とかのあたりをグルグル動いていた気がする。テキトーですいません(大汗

 最後に鉛で遮蔽したブロックの中に線量計を入れるという実験を行った。鉛はある程度の厚みがあれば、γ線でさえもほぼ防いでくれる。レンタルした線量計を鉛に入れると、多少は揺らぐものの、ほぼ0.01μSv/hあたりで安定していた。一宮さんいわく「鉛で閉じ込めると、その線量計で測ることができる下限、つまりND(検出限界値)が見えるようになります」

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 自前の測定器を持っているあふらんさんの報告では、鉛ブロック内で測定したら0.06μSv/hを示したという。つまり、その放射線測定器は0.06以下が測定できない=NDということになるのだろう。なお、線量の違いでさらに数値の傾向が異なるそうだ。あふらんさんのまとめ「GCMふくしまに参加してよかったと思うこと」http://togetter.com/li/340625を参照してほしい。
 
 ひと通り計測作業が終了した後は各地点の平均値を計算した上で、校正済みの機器で測った数値をもとに校正定数を割り出していった。電卓で延々と計算をするなんて、ド文系の俺は確定申告ぐらいでしか経験はない。最近はPC任せなので電卓などほとんど触っていなかったから、ボタンを押すだけで四苦八苦した。そんな状態で「数字が大切(キリッ)」とか言っても説得力ないわな。勉強します。

 最終的な記録用紙はこちら。GCM運営側でも記録用紙を撮影して保存しており、今後、もろもろの研究で役立てていくそうだ。

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 また、 https://twitter.com/ichimiyar/status/224804403553640449/photo/1/largeのように、参加者各自が測った数値をシールで貼り付けたグラフも作成した。赤が校正済み、黄色が参加者の値である。測りやすいポイントを選んだというが、それでもかなりブレ幅が大きいのがよくわかる。

 開成山公園という限定された空間を測っただけではあるが、改めて放射線問題は一口には語れないことがわかった。ちょっと横にズレただけで数字は大きく変わるし、高めに出るポイントも点在している。ただ、人が長時間いる場所に関しては、低く抑えられているということもよく理解できた。郡山市民がいつもの日常を過ごしているのは、そうするに値する場所だからだ。

 誰かの答えは、違う立場の誰かを傷つける。けれども、答えの違う者同士が意見をぶつけ合わないと先に進むことはできない。計算した数値を見ながら、なんとなくそんなことを考えていた。

 次回は放射線オタクたちとの触れ合いの時間について書きます。