世間一般の人は、農業高校というと、農家の後継者が通っているというイメージを抱くようだが、

現在私の所属校では、家が農家というのは、1/3いたら良い方でしょう。(学科にもよりますが)


入学後に志望の動機を問うと、「行ける高校がなかったから」、「中学校の先生に、ここしか行けないって言われたから」、なんて答える生徒も意外に多い。

そんな生徒は、農業科目の学習に対しても、なかなか興味関心をいだいてくれない。

いかに興味関心を持たせるかが、農業科教員の腕の見せ所である。


しかし、私は思う。

農業高校で農業を学んだ生徒には、“生きる力が付く”って。

授業でも言うことだが、ハクサイの種(ものすごく小さい。直径1mmくらいかな?)を見せ、

「みんなは、この種を渡されると、ハクサイの種っていうことがわかる。しかも種のまき方や育て方も知っている。しかし、進学校と言われる学校に通う生徒は何の種だかさえも分からない。君たちってすごくない?」って。

高校生にとって、あまりやる気を起こさせる言葉でも無かったようですが、将来感じてくれたら嬉しいです。


あと、普通校に通う生徒たちと一緒に、インターハイの準備をすることがあったのだが、その働きぶりには、歴然とした差があります。

農業高校の生徒は腰が軽く、さっさとやってくれる」(決してひいき目ではなくて)

なぜなら、彼らは日頃実習をやっているから。

毎週、2時間実習をやっている。

夏休みなどは、終日行うこともある。

だから、インターハイでの準備なんか、楽勝。

労を惜しまないようになる。


そんな素晴らしい教育を行っているにもかかわらず、全国的に農業高校、農業科が減ってきている。

なぜか?

人気が無いから。

中学3年生のニーズに応えていないから。


これは我々農業教員の力不足だと反省する。

「農業高校は人間教育を行っている!」、「その良さに気付かない周りが悪い!」って、その自負だけに頼り、時代の流れをキャッチし、自らの変革を嫌ってきたのである。


現在、農業の良さとか、大切さとかは、注目され始めてはいると思う。

しかし、それで農業高校や農業教育が見直され、注目されるわけではない。

環境の変化に対応できなければ、農業教育が日本から無くなるかもしれない。


農業後継者養成といった役割はすでに終わったのかも知れないが、それ以外の面での役割はたくさんあると思う。

それを全教職員で模索し、農業高校の柱にしなければならないと思う。