PENTAXのデジタル一眼レフカメラを修理した。黒死病のk-30.K-50合わせて4台。
いわゆる黒死病とはボディ内の絞り制御がうまく動作せずに真っ暗もしくは薄暗い写真が撮れるだけになる。
ボディ内絞り制御を使わないマニュアルレンズや絞りをレンズで行うレンズでは問題がでない。
原因はボディないにある絞り制御用の電磁ソレノイドのようだ。一部にはユニットそのものに問題があるとの意見もあり、ユニットごと販売されてたりしてる。
電磁ソレノイドに付いている馬蹄形の金属パーツがコイル側のネオジウム磁石🧲にくっついて離れなくなる事が原因はとされている。
対策としては上記のユニット交換を除き
①外部から本体を分解せずに消磁器等で馬蹄形のパーツを消磁する。
②分解して馬蹄形金具にハンダを盛る。
③馬蹄形金具の先端の角を削る。
④新しいパーツと交換する。
同じ種類のジャンクから取り出す
フィルムの一眼レフから取り出す
PENTAX MZ-30等
アリエクスプレスやオークション、フリマアプリで買えそう。
①はこの電磁ソレノイドの動作原理からすると全くのプラシーボ。叩いて治ったのレベル。
②は効果有りとのことだがハンダの盛り方が微妙そう。
③も②と同様で調整が難しそう。削りすぎは後戻りできない。
②③は対処療法といった感じ。盲腸を手術するみたいな。
④が一番まともな治し方のよう。
ただ、開腹して、ハンダ外して、再度ハンダするというとハードル高いかな。
この電磁ソレノイドの動作原理は
a.コイル側のパーツの上側真ん中にネオジウム磁石が埋め込まれていて馬蹄形金具を吸いつけている。
b.コイルに電流が流れると馬蹄形金具がコイルから押し出される方向に動く。この時に絞りレバーを開放側に押す。
c.電流が切れるとまたネオジウム磁石により馬蹄形金具は吸いつけられる。
①の対策がナンセンスなのはそもそも磁石に吸い付けられている金属を消磁なんてできないから。
また帯磁してくっついているので動かない、なら最初からくっついたまま動かないだろう。永久磁石は時間と共に弱るはずだから徐々にくっつく力は弱まるはず。だから馬蹄形金具の消磁はナンセンス。全体として磁力は弱まる方向だから全く効果がないとは言えないかも知れないがほぼ無関係と思われる。また僕が分解した個体4つは黒死病だったけど帯磁はしてなかった。
本当の原因はコイル側の劣化なんだろうと思う。馬蹄形金具を動かす力が足りなくなって金具がくっついたままとなってしまい黒死病になるんだと思う。
②③の対策はくっつく力を弱めてやろうという方法なのでま、良いかな。
良品の馬蹄形金具と不良品の金具を比較すると有意な差は見つけられない。混ぜたら区別つかなくなる。つまりはこの部品が根本原因ではないってことた。
馬蹄形金具が磁化するのが問題ではなくてコイル側に問題ありと考えるのが妥当と思う。
右側が良品のパーツ、左側が黒死病になったパーツ。コイルの頭側が違っているのがわかる。ネオジウム磁石を不良品は上側にずらしているので磁石としては強力過ぎることはわかっているのだろう。
左側のパーツを取り出して右側のパーツにすれば完治する。小さいパーツのハンダを外して再度ハンダ付けするので少しハードルは高いか。線は2本なので頑張ればできる。自分は老眼でハンダコテも震えるが分解からソレノイドの交換、再組み立てまで1時間弱で出来たし出来る。
注意点は二つ。
マウント側から見て右肩にストロボ用のコンデンサーがあって基本帯電している。近くを触ると感電する。自分は1度触ってしまい感電火傷をした。修理2個目から対策として抵抗とLEDで簡易ディスチャージャーを作って放電するようにした。僕のでやると放電に1、2分かかる。
もう一つは組み立てのとき前カバーと本体のAF/MFレバーをきちんと噛み合わせすることだ。これができていないとAFが動かなくなる。