息子が幼い頃から、毎年年始めに欠かさず行っていた場所がある。もう10年以上は一緒に行っているかも知れない。
研ぎ澄まされた石に願いを込め、大自然から生命力をもらい、何より息子が楽しみにしていた場所。
山頂からは富士山を一望でき、盆地を見渡せる。堂々として平然とした森と岩、吹き抜ける風を感じ、内なる声を聞けるような…そんな気持ちになれる。
今年は…
止めようと思ってた。
でも、妻がどうしても息子のためにと言うので、気は乗らないけれど、勇気を出して先日行ってきた。息子も一緒に連れて行くつもりで…
見慣れた町並みや景色、どこを見ても息子の面影が目に浮かんだ。きっと辛くなるだろうとは思っていたけれど、想像していた以上に悲しみが押し寄せ、止めどなく涙が零れた…
眩しすぎる光
遠くに見える富士はどこか寂しげに
平然とした森や岩は憐れんでいるかのよう
風の唸りは苦しみのよう
やっぱり世界は変わってしまったんだ…
一年前、息子は目に映る景色をじっと眺めていた。私は、そんな息子の背中越しに眺めていた。
その息子がいなくて…
何もかも違って見えた。
この場所は、心身を浄化し、魂を感じられるという話もある。私も何か感じられないかなと、森や岩を見つめ、心の中で息子の名前を叫んでみた。
でも、何も感じることはできなかった。
やけに疲れた…
息子は来てくれたのだろうか
息子は何を想っていただろうか
あの世ではもう苦しみはないと教えてもらって、とても救われる気持ちになった。でも、どうしてもあの日の息子の苦しみ、もがき、叫び声が頭を過ってしまう。
一瞬にしてあの日に戻されてしまう…。
息子の運命を変えてしまったことに、私は涙を流すことしかできない。やり場のない感情に埋もれどうにもならなくなる。
苦しいけれど、今はただ耐えるしかない…
それしかないんだと…
言い聞かせる
