「重ね合わせ」が壊れる瞬間 | 不動明眞

不動明眞

AKIMASA FUDO AKIRA

(蓋を開けた瞬間に結果がきまる)

 

「シュレーディンガーの猫」は量子力学で考えると

猫の生死は箱の蓋を開ける人間が握っている

ということになります。

 

左右のスリットのそれぞれに光子を感知する装置

を設置すると、光子が干渉するのをやめて

しまいます。

光子には「干渉をやめよう」などという意思はなく

人間が観測することによって性質が定まったゆえの

現象です。

 

これを、猫の話に当てはめると、箱の中に

いる猫は生きていると同時に死んでもいて

観測者が箱の蓋をあける、つまり観測して

はじめて生きた状態、または死んだ状態のどちらかに

確定するという意味になるのです。

 

(重ね合わせが壊れる)

 

「生きている猫」と「死んでいる猫」が

同時に存在する状態を重ね合わせと言いました。

この重ね合わせが壊れて、ある状態に定まる

ことをデコヒーレンスと呼びます

 

光子が粒子のように振舞って干渉しなくなった

のも「シュレーディンガーの猫」で箱の蓋を

開けるのも観測によるデコヒーレンスです

 

あいまいな印象は強いですが、量子力学の理論が

正しいからこそ、パソコンやスマートフォン

そのほかさまざまな電荷製品が動くのです

 

ちなみに現在世界中で研究が進められている

量子コンピュータが中々実現できないのも

デコヒーレンスが関係しています。

 

「※しかし、2024年6月現在、

この量子コンピュータは実際は完成しているのですが、

まだ、一般には公開されていないだけなんです。」

 

量子コンピューターではデータを量子ビットという

単位で扱うのですが、この量子ビットは常に

重ね合わせの状態でなければいけません。

現状では情報をインプットしたり計算したりするとき

の操作が「観測」だとみなされて、

デコヒーレンスが起きてしまうのです。

 

状態が確定してしまった量子ビットは、

現在使われている古典ビットとの何の違いもない

のです。重ね合わせとデコヒーレンスは量子の

面白い特性ですが、研究者や開発者を悩ませる種

でもあるのです。