原子が壊れるとどうなる? | 不動明眞

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AKIMASA FUDO AKIRA

放射能という言葉は、よくテレビのニュースでも

聞かれますが、よくわからないけれど、

身体に悪いもの、くらいにしか知らない人も

多いのではないでしょうか。

 

放射能とは、放射性同位元素という、不安定な

状態の物質が、ほかの安定した元素に変化する

性質のことを言います。

別の元素に変化することを放射性崩壊といい、

そのときに発生するのが放射線です。

 

私たちが、日常で放射能と呼んでいるのは

放射線を示していることが多いと思います。

放射線を身体に浴びることを被爆といって

大量の放射線を被爆すると、健康にさまざまな障害が

出てくるものです。

 

(何が飛び出してきているのか?)

放射線の正体とはいったい何でしょうか

それは、光と同じ、電磁波の一種なのですが

光とは周波数が違うという関係です。

 

α線はモノを突き抜ける力は弱く紙一枚でも遮ることが

できますが、身体に浴びてしまうと、大きな影響を

及ぼします。

一方γ線は、モノを突き抜ける力は強いのですが、

人体に及ぼす影響はα線ほど強くありません。

 

ここで、放射線とミクロの世界の密接な

つながりがわかる例を見てみます。

 

α崩壊で飛び出すヘリウム原子核(α線)のことを

α粒子といいます。このα粒子は原子核内では、

核力と呼ばれる強い力で結びついています。

この核力を振り切るようなエネルギーはα粒子には

ありません。

つまり、常識で考えるとα崩壊は起こらないことに

なります。ではどのような場合にα崩壊が起きるのかと

いうと、トンネル効果の影響があるときです。

トンネル効果が働いていれば、エネルギー不足な物質

でも、エネルギーの壁を突き抜けることができます

α粒子が核力を振り切って原子核から飛び出せるのです。

 

原子核の外に出ると、もはや核力はα粒子には

及びません。また、原子核とα粒子の間には電磁気力に

よる斥力(互いを引き離す力)が働いているので、

一度外へ出たα粒子はそのまま原子の外まで高速で

飛び出すことになるのです。

 

福島県の第一原子力発電所事故で問題になっている

のも、放射線の被害です。

近辺は大気だけでなく、水も土も植物も、人や動物

が住めないほどの濃度の放射線に汚染されています。

 

人が立ち入れない場所も多いので復興の目処は

立っていません。非難する前に被爆してしまった

人も多く、数年後には白血病などの症状が現れる

人が急増するのではないかと危惧されています。