アイルランド出身のシンガー、シネイド・オコナーが亡くなった。
享年56歳。
それは家族からの発表だった。
「非常に悲しいお知らせがあります。我々の愛するシネイドが亡くなりました。
家族も友人も、深い悲しみに暮れています。困難な時なので、ご理解のほどよろしくお願いします」。
死因は明かされていない。
1990年にリリースされたアルバム『蒼い囁き』からのシングル「Nothing Compares 2 U」が大ヒットし世界中で名声を得た。
当時ぼくはニューヨークに住んでいて、このアルバムを何度も聴いていた。
そして事件は92年に起こった。
続く1992年には、キャリアの中で最も有名な出来事があった。米NBCテレビの番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演した際、カトリック教会内の児童性的虐待への抗議として、当時の教皇ヨハネ・パウロ2世の写真を破った。ボブ・マーリーさんの「ウォー(戦争の意)」をアカペラで歌った後、オコナーさんはカメラに目を向けて「真の敵と戦いなさい」と述べた。(BBCニュースジャパンから転載)
実はこの瞬間を、ぼくはブルックリンのアパートの一室で観ていたのだ。
サタデー・ナイト・ライブの後半では、当時話題のミュージシャンやバンドの生ライブがあったので、いつも楽しみにしていた。
今この映像を観ても、その時の衝撃を思い出す。
生放送ならではなのだが、スタジオ内の空気が凍り付いているのがわかるだろう。
世界が凍り付いた2週間後、歴史に残るライブが再び起こった。
それは1992年10月19日におこなわれたマディソンスクエアガーデンでのボブ・ディランのデビュー30周年を記念したトリビュート・コンサートでの出来事だった。
今、『サウンド・オブ・フリーダム』という映画がアメリカで大ヒットしている。
『サウンド・オブ・フリーダム』は、元国土安全保障省(DHS)の捜査官のティム・バラードが、性的人身売買業者から子どもたちを救おうとした任務の実話をベースとしている映画で、この映画の影響もあってか、今まで世界に巣食ってきた闇の支配者、そしていわゆるペドフィリアという児童性愛者の問題が明るみになってきている。
しかし、シネイド・オコナーは30年以上も前から児童への性的虐待を抗議の一環としてきたのだ。
マディソンスクエアガーデンで予定されていたボブ・ディランの歌をやめて、サタデーナイトライブで歌ったボブ・マーリィの『War』を再度アカペラで歌った彼女の決断は、魂の叫びと言っていいのだろう。
私たちは勝利を確信している
善が悪に勝つのを
善が悪に勝つ
彼女が歌い終わった後、歓声とブーイングが同時に起こり、会場は異様な空気に包まれた・・・
この時にはさすがに語らなかったが、サタデーナイトライブでの生ライブの最後に、ローマ教皇の写真を破り、放った言葉こそ、今のぼくたちへ向けての悲痛なメッセージなのだ。
Fight the Real Enemy(真の敵と戦いなさい)
R.I.P Sinead O'Connor
彼女のメッセージをぼくたちは無駄にしてはならない・・・
DSと戦い続けたシネイド!
天国で安らかに!!
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この魂の叫びを聴いて欲しい!
4年ほど前のライブだが、後半でカメラに向かって微笑む彼女にピュアな魂を感じます♪