すいません。すいません。》
(ナミ、玄関のドアを開ける)
【ガチャ】
(無精髭面の見るからに不潔極まりない
顎のなが~い中年男、
いきなり玄関の中に入る)
(ナミ)《ぺっ、ペ・リ・カ・ン?
えっ?
なっ、ナ・マ・ハ・ゲ?
かっ、カンガルー便さんですかぁ?》
【ガチャン】
(男、内側から鍵を閉める)
(ナミ)《なっ、なんなんですか?
たっ、宅急便さんじゃないんですかぁ?》
(男)『奥さん?
俺はこれから江戸川の小鰭漁に行くんだよ!
その後、東京湾のあさり漁にも行かなくちゃならねんだ。
そしたら、一生帰って来れねーかもしれねんだよ!
一生奥さんの顔を
見れねーかもしれねんだよ。
俺は生涯独身だから
死ぬ前に一度、
奥さんの柔肌を思う存分食べつくしたくて
ムショ行きを覚悟して来たんだよ!』
(ナミ)《はぁ~?
何のマネですか?
帰って下さい!
警察呼びますよ~!
お願いだから帰って下さい!》
(男)『ここまで来て、帰れるわけねーだろ!
奥さん。
死にたくなかったら
言うこときくんだな!』
(ナミ)《キャーーーッ!
もう帰ってぇ~!
だっ、誰か、助けてぇ~~!》