2024年現在、、
信頼性が揺らぎ、非常に厳しい正念場に立たされたのが民間旅客機の2大メーカーの一つ、アメリカ合衆国のボーイングである。
しかし、そのボーイングはかつて「非常に頑丈」との評価をもらったこともあったのだった。。
たった十数年で評価はがらりと変わった。。
これもアメリカ国内に競合が居なくなったことも影響するのかもしれない・・・
 
さて、、
そんなボーイングを民間機の名門メーカーに押し上げたのが今回のネタ。。
B707やストラトクルーザーではない、、、
実はボーイングを民間旅客機の名門に押し上げたのは小さな旅客機であった。。
その名は、、、

ボーイング B727
結果的にはボーイング史上初の1000機を超えるセールスを記録する名機となるが、、
その開発にはいろいろと問題もあったのでした。。。
 
時は1950年代中頃、、、
B707の就航で一葉の成功をみたボーイングのジェット旅客機開発であったが、ボーイングには苦い経験がくすぶっていた。。
それは
「短中距離機の不在」
だった。
ボーイングは元々ユナイテッド航空の傘下のメーカーとしての歴史もあり、ユナイテッド航空向けの新鋭機の開発が主要な役割であった。
その中で生産されたのがボーイング724であった。
これは自動操縦装置や格納式の車輪などを備えた、実に革新的な航空機であった。
これに対抗する形でダグラスが開発したのがDC-3系列(DC-1から始まるシリーズ)であった。
この性能に舌を巻いたユナイテッドはたまらずDC-3を発注することになる。
 
この後ボーイングは民間機でダグラスの後塵を拝することになる。
この中でジェット機開発でついにダグラスに並ぶことに成功したボーイングはここで市場を席巻していたダグラスやマーチンなどのレシプロ機を一掃する短中距離ジェット機の開発を試みることになった。

しかし同社初のジェット機であるB707の開発で余力のないボーイング経営陣は開発陣に
 
経「あぁ~B707の開発資金を回収できてないし再利用してね~」
開「はぁ~?ちょっと!!中長距離の機体をどうやって、、、」
経「じゃぁ~頼みましたからねぇ~~ノシ」
 
そんな会話があったかどうかは知らないが、開発陣にはB707のコンポーネントを流用することが命じられることになった。
(ノリは違えど、ほぼ事実)
これが後々に響くとは誰も思わなかった事だろう・・・
こうして、まずは胴体の設計がそのまま流用されることになった。
これには経営陣の
ユニットコストの低減
の思惑もあった。
同じものをいくつも生産すれば、部品単体のコストは圧縮できる。
これをB707と新型機で共通化する事で実現し、両者の価格を抑えようと考えていた。
この考えはボーイングにとってはある意味初めての考えだったかもしれない。。

続いて、経営陣からは、、
 
経「あぁ~金ないからプログラムの失敗は許されないからね~」
開「それは、、つまり((((;゚Д゚))))?
「ミナマデイワスナ(ニヤリ)?」
 
つまり経営が要求したのは
必ず発注を取れる商品の開発
だった。
無理難題の様に見えるが、実のところB707を自費開発したボーイングには手元資金の余裕はなく、投資費用の回収は原型機ベースの軍用向け通称「717」の販売状況次第とも言えた。
 
それを受けた開発陣はアメリカ国内の主要航空会社にヒアリングを行うことになった。。。
実はボーイングが設計段階からキャリアの意見を募った初めての経験とも言えた。
(それまでは主要なキャリアからの要望を受けた開発が主だった)

その中で出されたいくつかの意見、、
 
イースタン「エンジン故障が心配なので双発は、、、」
 
ユナイテッド「高温高地での発着能力を確保してほしい、、(DC-8では、、)
 
特にアメリカン航空の意見がこの機種の形態を決定づけた、、
アメリカン
「うちはカリブ海に飛ばしたい!」
これでプランは決まった!

高温高地での発着能力の確保のためには高いSTOL性能が要求されるが、それは速度を犠牲にする。
その解決のため、ボーイングはB707の派生型開発の際に行った風洞実験の結果を参考にする。
 
「フラップに隙間を設ければ、主翼上面からの気流を強くし、揚力を高められるのでは?」
 
こうしてB727にはそれまでにはない、隙間式フラップが採用された。
(この隙間式フラップはその後B777まで採用されるボーイング機の特徴にもなっていく)
 
そして、イースタンやアメリカンの要望の洋上飛行やエンジンへの信頼性を克服するために、エンジンを3発搭載することにした。こうして1発停止しても必要な推力を確保できるようにした。
また、エンジンを尾部に集中配置することでエンジン停止時の推力偏向を極力小さくすることで緊急時の安定飛行を狙った。

しかし、同時に問題も起きた、、
開①「ラフプランはできたが、、、尻尾が重すぎね?」
開②「ならば、主翼を後ろ寄りにして、、」
開③「まて!それでは頭が重すぎて、飛行中に頭が下がる!」
開①「いや!エンジンが後にあるからバランスが取れる!」
開④「ところで、、これどこから降りるの?
開全「??前じゃね?」
開④「前から降りたら、、降機中に尻尾下がるんじゃね?
開全「!!!!あっ、、、」
開⑤「つっかえ棒でもする?」
開全「つっかえ棒?」
開⑤「尾部に機体備え付けのステアを付けてそれで機体を支える
開全「!!それだ!!」
 
こうしてB727の尾部に備え付けのエアステアが装備されたとか、、、
さて、、、
こうして開発されたB727ですが、、、
実はまだまだネタがありますが、今回はこの辺で。。。
 

(B727の開発秘話はまだ続きます、、、)

 

今回の模型は

メーカー:ヘルパ

機種:B727 プロトタイプ

スケール:1/500

でした。。