最近、成田空港では黄色い尾翼の貨物機がやたらと増えました。。
黄色い尾翼、、ヨーロッパを拠点とする王手物流企業のDHLの塗装です。
DHLのフルカラーから運行会社のロゴの入ったハイブリッド塗装まで、、
そんなDHL便で飛来する貨物機の中で大きな存在感を放つのが、、

  ポーラーエアカーゴでしょう
元々はサザンエアと航空機リース業のGEキャピタルの合弁で設立されましたが、

いまではアトラス航空グループとDHLの合弁となっています。出資比率はアトラスが51、DHLが49となっており、アトラスの子会社という位置付け。。
しかし自社の塗装に無頓着とも感じられるアトラスの傘下ゆえか、ポーラーの機材はDHLロゴの入ったハイブリッド塗装ばかりに。。

しかしポーラーにも自社のロゴがある。
最近はとんと見かけなくなったが、B747-400ではハイブリッドになったあともウイングレットにそのロゴが残っていた。
そしてかつては同社にもフルカラー機がもちろんあった。。

もうこの塗装を見なくなって何年にもなります。そして尾翼にかかれたロゴは同社設立の背景を物語っていました。
 
かつて世界を席巻した貨物専門キャリア

フライングタイガーライン
(以降 フラタイ)
(同社の主力はB747Fでしたが、
個人的な好みでこちらをチョイス)

かつては日本に定期路線を運航しており、成田を極東のハブとして活用していた。また横田などの在日米軍基地へのチャーター便も多数運行していたため日本のファンにも未だに高い知名度を持ちます。
ポーラーエアカーゴはフラタイを前身にもつといっても過言ではないでしょう。
フラタイは1945年に有志10名によってアメリカで設立された貨物専門キャリア、ナショナル・スカイウェイ・フレイトという会社から始まる。同社は翌年にフライング・タイガーへと社名を変更したのち49年に運行認可を取得。
軍から払い下げられたDC-4やDC-6で大西洋路線に参入する。

65年にB707を導入したことを皮切りにジェット化を推進し、B747やDC-8などの大型機材の他B727貨物機も運行。
アメリカ発着において大きなシェアを獲得していく。
更に当時国内第2位の貨物キャリアを吸収したことでさらに巨大化していく。
一時的に吸収したシーボード・ワールドとのハイブリッド塗装も存在しますが、同社は標準塗装は設立から一貫してベアメタルであった。

特に同社のB747貨物機は旅客仕様のジャンボジェットを貨物機へ改修した先駆的な例であった。
中古機の導入のほか自社発注機も多数存在し、B747貨物機は純正貨物機、転用機のほかに搭載エンジンが異なる機材も混在していた。

しかし、このフラタイの急激な成長の裏には常に戦争の影がちらついていた。
そもそもフラタイ設立時の有志というのも、1937年の盧溝橋事件に端を発した日中戦争で、中国を支援するためにアメリカが派遣した義勇軍、通称「フライングタイガース」の元搭乗員たちの集まりであった。
フラタイ自体のメインの顧客もアメリカ空軍であり、ベトナム戦争による軍需輸送需要が同社の拡大に大きく寄与していた。
そして、先述の他社買収による拡大が80年であったが、この直後に事態が急変してしまう。

80年代中頃、、
アメリカ国内経済の停滞とそれに伴う輸送需要の低下、ひいては冷戦の緊張が緩和されていく中での軍需輸送の削減は同社の経営を直撃することになった。
88年に経営悪化を理由にフェデックス・エクスプレスに買収され、89年に統合・吸収されフライングタイガーの名称は消滅することになった。
 
その後、93年に元フラタイの従業員たちが集まりポーラーエアカーゴが設立され、そこへサザンエアとGEキャピタルが出資する形で就航へこぎつける。
その背景もあり、当初ポーラーエアカーゴのコールサインは「ポーラタイガー」とコールしていた。
同社のサークルPのマークは、フラタイがかつて掲げていたサークルTを踏襲したもので、同社の中にフラタイゆずりの強い結束力が息づいていることを示しているのでしょう。


今回の模型は
フライング・タイガー・ライン
機種:DC-8-61(F)
メーカー:5Star
スケール:1/500

ヘルパ製品と異なり尾翼も金属で制作されるStarJetsや5Starだからこそ、尾翼のメタル感が再現されてます。