私がそのキャリアの存在を知ったのは2013年の事でした。。
それは私が初めてカリブ海はセントマーチンを訪れたのちにロスへ向かう乗り換えの空港、ニューアーク国際空港でした。

ジェットエアウェイズ
インド第2のエアラインであり、傲慢経営をまで揶揄されたエアインディアの独占状態だったインドの航空産業を改革したキャリアです。
同社の設立は1992年。
当初は4機のB737で運行を開始した同社は国内線を中心に勢力を伸ばし、事実上のインド国営のエアインディア独占でろくにスケジュール通りに運行されなかった同国国内線に定時運行を定着させました。
経済発展著しいインドでは高度経済長期の日本の様に時間に追われるビジネスマンが誕生しており、時間通りなフライトを提供する同社は存在感を増していきました。
気がつけばエアインディアを越えて25%ものシェアを誇り、国内キャリアの合併で多少シェアを落とすも、依然として高いシェアを維持し続けていました。
しかし国内線中心の同社の機材との邂逅機会はあまりなく、二回目の邂逅は2015年、、

サンフランシスコでした。
この時の機材はB777-300/ER、、
画像は当時同社に出資していたエティハド航空での登録記号A6-JAAを付けたままで運行されている珍しい光景です。
同機はエティハド航空とジェットエアウェイズの間を行き来していたため、頻繁にレジが変わっていました。
しかしこの機が同社の数奇な運命をしめていた機材でもあります。
同機の最初のレジはVT-JEC、、ジェットエアウェイズに引き渡されています。
その後に一度リースバックされたのち、VT-JESとしてジェットエアウェイズで登録され、エティハド航空でA6-JAAとなります。
そして私が同社の機材を見たのはこれが最後になります。。
 
というわけで、本日のコレクション紹介、、

ジェットエアウェイズ
Boeing B777-300/ER
メーカー:Sky500
スケール:1/500
 
登録記号はVT-JEH
導入から破たんまで同社で運行された機材です。
ジェットエアウェイズは6機のB77Wを運航していましたが、基本は新造機をリースで導入する形がとられていました。

基本的に国内線を運航していた同社はB737やA320、さらにはATR42といった小型機が多勢をしめており、A330やB77Wのような大型長距離機はあまり多くはありませんでした。
しかし、就航した1992年から15年後の2007年には国内線でトップシェアを獲得するほどの破竹の勢いで成長していました。

その勢いのままで国際線にも進出、、
しかし、足元の国内では勢力図に変化が、、
新興キャリアの2社が合併したことで同国内でのシェアが減少、、かろうじてトップを維持するもその後に登場した格安航空(LCC)のインディゴにトップを譲ることになります。
国内線のテコ入れとして同社はエア・サハラを買収しジェット・ライトとして国内線の拡充をはかります。

しかし、インディゴを筆頭とする格安航空の台頭を感じた同社は同社ブランドの格安航空ジェットエアウェイズ・コネクトを設立、2012年にライトとLCCのコネクトと合併してジェット・コネクトとしてインド国内線でのLCC運行を前面に押し出していきます。経済発展を受けて戦国時代状態のインドの航空市場の中で混乱を見せる同社を更に混乱させたる事態が2013年末に起きます。それが
エティハド航空による出資でした。
エティハドは買収まではしないまでも同社の株式を買い増し経営に影響を示し始めます。

この中で同社とエティハドとの間で包括的なパートナーシップが締結されます。

(A6-JAA=VT-JES(VT-JEC)の両者での融通もこれによる)

国内線でのLCC台頭による過当競争の中でジェットエアウェイズは2013年にLCC最王手のインディゴにトップシェアを譲ることになります。
これを受けた同社はシェア回復のために信じられない行動に出ていきます、、、
2014年、、ジェットエアウェイズは子会社のLCCであるジェット・コネクトでフルサービスへ転向します。
これが同社にとって致命的なダメージを与えることになります。。
 
利益率が悪化した同社は2019年4月、、資金繰りが悪化したことにより運行経費を維持できなくなったために運行を停止、、
2か月後の6月に破産手続きが実施された。。
 
同社は2021年に運行を再開すると発表したものの、それが実現されてはいない。。
 
 
一時はトップシェアを獲得し、LCCが台頭する中でも堅調にシェアを維持していたにも関わらず、外資の出資による影響や焦りと一時的な回復から実情の把握が遅くなった結果運行停止となってしまった事例でした。
実はインド国内の航空需要が上昇していただけで、同社の利用者が減少していたわけではなかった。
しかし方針が変わった同社の国内線はそれまでの利用者のニーズに合わなくなっていたことと、同社発祥の定時運行が広く浸透したことが同社の競争力を低下させていた。その中でそれまでの強みを否定して高コスト・低利益にわざわざ転換した結果とも言えた。
ジェットエアウェイズはインドの新興キャリアの中では唯一長距離国際線にまで進出したキャリアで日本で言えばANAに当たる第2極となるキャリアでしたので、もし生き残っていたならインドの航空市場はかなり変わった様相だったでしょうね。。。