一機一機取り上げてると埒が明かない状態になってきたので、、

(実は先月だけで32機、今月でも21機増えてる、、)

今回からは話にでてくる事柄に関係ありそうなのを出していこうと思います。。

(なので、次回以降も複数のコレクションが出てきます、、)

 

1929年、カリブ海の島国、キューバ共和国(以降:キューバ)にアメリカの航空機メーカー、カーティスが設立した Compañía Nacional Cubana de Aviación Curtiss が今回の主役、クバーナ航空の母体です。

実は結構歴史のある航空会社なのです。

 

さて、、

冒頭で話した通り、キューバのフラッグキャリアであるクバーナ航空は元来アメリカ資本で設立された航空会社でした。

その後、先述のパンアメリカン航空の傘下へと編入され、1944年に現在のクバーナ航空へと社名を変更します。

元々アメリカ資本でしたので、設立時から戦後までは主にアメリカ製の航空機を運用していました。

ジェット化も早く、1959年に初飛行したばかりのDC-8を早速導入し、主力機として運行していたほど、、

しかし1959年に勃発したキューバ革命による劇的な政変で様変わりします。

革命翌年の1960年、当時のケネディ政権によるキューバへの禁輸処置のためにアメリカ製航空機の調達はおろか維持が困難になっていく。

しかし島国であるキューバにとって空路の遮断は極めて大きな打撃となる。

そのために同じ社会主義陣営ということもあったのだろう、、

ソビエト社会主義共和国連邦より支援の形でソ連製の航空機が提供される。

(大幅な値引きがあったといわれ、事実上の供与に近い、、)

こうしてクバーナ航空は維持が困難になったアメリカ製航空機をソ連製航空機へリプレースしていった。

その中の一部を、、

イリューシン設計局 IL-18

実はDC-8と同い年なんですが、、運用開始は1959年。

就航時期も形態もロッキードのL-188 エレクトラによく似ています、、、(何故でしょうねぇ~~)

クバーナ航空向けは性能向上型のD型で、航続距離も搭乗客数も向上している。

(最大で122名が搭乗可能)

 

1970年代に入るとソ連製機材でもジェット化が進行した。

この中で導入された中距離機がこちら、、

もはやソ連製短中距離機の代名詞ともいえる、、

ツポレフTu-154。

尾部にエンジン3基をまとめて取り付けた姿はどことなく、あの機材を彷彿とさせます、、

(ちなみに、機体の構成も基本的にはTu-134を大きくしただけです。なので、私は模造説には懐疑的です)

この頃には長距離機としてIL-62も導入されます。

しかし、経済制裁の一環としてクバーナ航空はアメリカ領空の通過が禁止されているため、いかに足の長いIL-62でも大西洋横断は難しいものでした。

なので、クバーナ航空のヨーロッパ路線は国交を保っていたカナダを経由する形で運行されています。

冷戦が終結してもアメリカによる経済制裁が解除されることはなく、、、

ソ連製の航空機も経年が見られ、リプレースの時期を迎えます。

しかしソ連崩壊により、かつてのような支援が難しくなったため、クバーナ航空は中型機については一部リース機での運行を開始。

その他、ロシア製の航空機でツポレフTu-204を導入するなど機材の更新を進めていました。

一方で、長距離機材も更新を迎えます。

クバーナ唯一の長距離機材だったIL-62の後継は政府関連でも使用する都合上、自社保有(国営なので政府保有)とした方がよいとの判断もあったのでしょう、ロシア製のIL-96が調達されました。

クバーナ航空の大西洋路線機材として運用されています。

ベースとなったIL-86の胴体を短縮し、エンジンを高バイパスターボファンエンジンを装備して航続距離を飛躍的に改善しています。操縦系統の一部にはフライバイワイヤも採用されたソ連の意欲作でもあったのですが、、、

いかんせん売れず、、、生産はわずか28機、、

運用したキャリアはロシアのキャリアを除くとクバーナだけ、、、

そしてロシアの民間航空からは退役済み、、、

つまり、、

クバーナ航空のIL-96は一般人が乗れる唯一のIL-96です。。。

ちなみに、、

ここで紹介した3機、、胴体の塗装こそ変化はありますが、尾翼のデザインが変わっていません。

このデザインはDC-8を運用していたことも同じでした。

クバーナの尾翼はキューバの国旗を想起させます。

社名がずっと変わらない航空会社はいくらかありますが、尾翼のデザインが70年近く変わっていないところは聴きません。

政変に巻き込まれながらも空路を維持し、国の体制や資本が変わっても変わらないポリシーのようなものがあるのかもしれない。。

 

(旧ソ連時代やソ連崩壊直後などの時期に導入された機種はどのくらいに何機導入されたのかが把握しにくいため、今回はいつも以上に内容が薄っぺらいです。。。)

 

予告

冷戦の最中、東西陣営の技術的交流はほぼ皆無であった。

しかし旧ソ連の中で開発された航空機には西側陣営のメーカーのものに酷似するものが、、

次回「されたものとしたものの明暗(前半)」

 

 

余談、、、

カーティスというメーカーに聞き覚えはあっても馴染みはないと思います。

実際には現存していますが、航空機メーカーではなくなっています。

また聞き覚えがあるのはジブリ映画の「紅の豚」でポルコと空中戦を演じたのがカーティスです。

実際にMrカーティスが操縦するのはメーカーのカーティスが製造したR3C-2という機種がモデルです。。。