1980年代、、
当時、世界最大の航空機メーカーとなっていたボーイング社だったが、A300型をリリースしたエアバスに対してかなり強い危機感を抱いていた。
B767やB747-400をリリースした後の1986年にB767とB747の間を埋める中型機の開発行うにあたり、実際に運行する航空会社側の意見を取り入れることと、より有利に受注を得られるようにすることを目論んで各社の要望を募っていた。
その中で、特に強い関心を持ち、実際に発注に動いた各社を招いて新型機への設計面についても意見を求めることでより各社の意見を反映して開発する姿勢を示した。
こうして行われたのがワーキングトゥギャザーと呼ばれる活動であり、これによって開発されたのがB767X、ほどなくB777プログラムとなり、、のちに世界中の航空会社のフリート構成の再編を巻き起こした傑作機ともいえるボーイング B777シリーズである。
ボーイングでは最初のプランの名称からもわかる通りB767の派生形式としての開発でスタートしていた。
そのため、計画上のコックピットはB767のそれだった。
しかし、各社からB747-400に準じたグラスコックピットにするべき、、との意見が多勢をしめた。
また各社ともB767-300のストレッチではなく、より大型の胴体を欲していた。
そのため、多くが完全新設計となったことで、B767の派生形式ではなく、B777という新型形式へ発展することになった。
B777は非常に助長性の高い機種であった。
今回はその中で、特に双発の常識を超えた、B777初の派生型の一部を見ていきます。
日本では-200型、-300型ともに全日本空輸(以降:ANA)が最初の運行会社となりました。
(ローンチカスタマーのANAは-200型も-300型も最初の機材は特別塗装をまとった)
それまでの双発機は基本300席未満であり、それを超えるのはB747クラスの400席超であった。
基本形式の-200型は300~400席とこの間を埋めるに都合のいい機材であった。
一方でストレッチ型の-300はそれまでジャンボジェットの独壇場であった400席超を実現した。
この派生型の登場はアジアの航空市場、、特に日本の航空市場には非常に大きなインパクトを与えることになった。
ストレッチに伴い航続距離が減少するが、それでも標準座席数で10000キロを超える。
結果として双発による洋上飛行制限を受けることのない日本国内線やアジア圏の運行においては既存の大型機、、特にB747を置き換える機材として位置付けられることになった。
非常に特殊な事情のある日本の航空市場においても、500席超という座席を配置し、当時国内線で活躍していたB747-SRやB747-300型を淘汰していく。
B747-400の登場は大型機のツーマンクルー化という点で大きな衝撃ではあったが、B777-300型の登場はそれまで君臨していた女王のジャンボジェットさえ置き換えるほどのインパクトがあった。
しかし、双発というビハインドがあった故、-300型はアジア圏にほぼカスタマーが限定された。
ジャンボの代替というビジョンこそ描いたが、それでも生産数は60機とさほど伸びなかった、、、が、、、
その後に登場したさらなる派生型が世界的な流れを決定づけた、、
それが-300の航続距離延長型、B777-300/ERの登場だった。
その航続距離は驚異的な14000キロに達し、ほぼほぼ主要な都市間を直行できる性能を有している上にETOPSの認定により洋上飛行制限が緩和されたことによりジャンボジェットの優位性は崩れることになった、、
双発による経済性
洋上飛行制限の緩和
充分なキャパシティ
この3点を満たしたB777系列は世界中のフリート構成に劇的な変化をもたらすことになり、世界中からジャンボジェットが姿をけすことになる。
(流れる風をイメージした特別塗装は胴が長く間延びした印象を与える-300をスマートに引き立てている)
一方で貨物航空の各社ではB777の導入はなかった。
まず、2000年時点でボーイングでの新造貨物型777が無かった事に加えて、当時一部で退役が始まっていた-200型や-200/ER型では離陸重量が250トン~300トン足らずしかなく、積載貨物重量も最大で50トン程度しかなかった。
これならMD-11Fの90トンの方が有用だった。
しかし、2005年にボーイングは最新系列-200/LRのデリバリーと同形式をベースにした純正貨物型-200/LR/F(以降:B777F)の開発を発表した。
これにより貨物機として活躍していたMD-11にも引導が渡される、、、
3発で90トンのMD-11と双発で100トンの積載能力を持つB777F。
世界最大のMD-11、DC-10(MD-10)フリートを形成したフェデックス・エクスプレスはB777FとB767FでMD-11とMD-10を置き換えることを発表した。
(新型感染症の影響で航空貨物需要がひっ迫したため2022年現在は延命中、、)
B777Fの登場により、ほぼ同クラスどころか、運行効率の高さから少し大きめなB747-200~400のフレイターまでもが代替対象になり、B747-400の貨物機転用すらされない事態へ、、、
B777系列の登場により空の覇者はジャンボジェットからB777へ確実に移り変わってしまったと言えた。。
しかし、覇者とは移り変わるものです、、、
(まさかここまで破竹の勢いで覇者へ上り詰めたのに、直ぐに退役を迫られる事態になるとは、、、)
予告、、
ジャンボジェットを引きずり下ろし大空の覇者になったとも言えたB777
しかしほどなくして追われる立場へと変わってしまう、、
覇者にも陰りや終わりが来る。
次回「大空の覇者を自負したエアライン」