中年母グーグルで開き直った | マンハッタン88丁目の窓から、ニューヨークの日々の生活をお伝えします。

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ニューヨーク在住20年を超えた自称ニューヨーカーの筆者が、ニューヨークの生な様子をニューヨークの風にのせてお届けします。

正式なオフィスのオープンは4月4日で週3日出勤しなければなりませんが、今日は3度目の出社をしてみました。

 我が家のあるアッパーイーストからグーグルのあるチェルシーに行くには途中乗り換えもあって40分近くかかり、無事に自分のデスクに座ったのは8時半過ぎ。会社の正式なビジネス時間は10時から5時なので、まだ誰もいません。

 そして、10時前あたりから三々五々、5、6人の若者が集まってきました。そして、月並みに

"Good to see you" 

などと言葉を交わすと、皆それぞれ仕事開始。

 そして、時たま誰かが何か言うと、若い女の子たちは反応し、さざめき、会話が始まったりします。たわいもないことを話しているのですが、皆若いですから”うちの子供がね”なんて言う言葉は一言もでず、更に結婚している人も殆どいないので、”夫がね”なんて言葉もでてきません。”ボーイフレンドがね。”です。ウインク

 

このあたりから中年母は何となく気まずく、かっこ悪い状況に陥り始めます。会話に全く入ろうとしないのはあまりに非社交的過ぎるだろうか、とも思われますが、何か口を挟んだところで会話がしらけてしまうことは明白です。

 

最悪なのは隣の席に座っているEという女の子でした。左隣に座っている私に対しては自ら声をかけてくることはありません。専ら右隣のLという強そうな面構えの女の子とひたすらひそひそ喋ってます。20代の女の子にとっては当たり前といえば当たり前なのでしょうが。私が声をかけても、”Yes" の一言くらいしか言いません。何か気の利いたことの一言も言えないのか、姉ちゃん、ムキーと中年母。

 そうは思いながらも、自分が非社交的で自らを周りから隔絶しているかのごとくで、自己嫌悪にも陥り、本当に気分が悪くなって来ました。中年母は、やはりこれほどこの場から明らかに浮いているのか。えーん

 

 そこで思い出したのは、失業中に知り合い、いまだに細々とつながっている友人の言葉。

”Just focus on your work. That's what you're paid for." 

自分の仕事に集中したらいいじゃない。そのためにお金をもらっているのだから。

 

そうなのだった。私はデータアナリストなのです。営業の君たちの営業データを分析しているのだ。孤立するつもりは全くないけれど、媚びを売って無理に若者の仲間に入ろうとする必要などないのだ。背筋をピンと伸ばし、品位を保ち、優雅に、そう優雅に仕事を終わらせようではありませんか。スキニージーンズファッションの彼らに合わせず、プリーツの長いスカートを履いて来たのは正解でした。歩くたびにスカートの裾がひらりと揺れ、何だか優雅さを纏っているかのようで、気分がよくなって来ました。

 

中年母、悟りを開きました。開き直ったと言った方が正しいかもしれませんが。ウインク 更に、ちょっと離れた席に座っている、誰ともあまり群れない若い女の子とちょっとした会話を交わすこともでき、孤立している訳でもないのだわ、とちょっとだけ安心。帰りがけに

”明日も来る?”なんて声もかけてもらいました。

 

中年母が開き直れば、世の中、怖いものなどそうざらには無いのかも知れません。