明日9月11日はあのテロ攻撃から25周年だそうです。そんなに前だったかしらと今更ながら驚いてしまいました。
あの朝、私はいつものごとく家からミッドタウンにあるオフィスに歩いて出勤しました。綺麗な秋晴れの朝のことです。道の途中にある電気屋さんのショーウィンドーにテレビがつけっぱなしになっていて、何か爆発している映像が流れているのをちらっと横目でみたのですが、きっと映画でも流しているのだろうくらいに思ってそのまま通り過ぎました。
オフィスに行くや、入り口のレセプションデスクの壁の上につるしてあるテレビのモニターの周りに人だかりがしていて、知っているドイツ人のエンジニアの男の子が「ツインタワーに飛行機が突っ込んだらしい。」と興奮した口調で教えてくれました。
今ほど瞬時に情報が入らない時代だったからでしょうか、何が起こったのかも何もわかりませんでした。その頃私が働いていた会社のオフィスは、グランドセントラル駅のすぐそばでした。外から攻撃される可能性もあるから、窓際の席の人は席を離れて空いているデスクで仕事をするように、とマネージメントからお達しが出ました。
同僚と一緒に窓の下をそっと覗いてみると、家に帰ろうとタクシーを巡って喧嘩まで起こっていて、あちこちで多くの人が怒鳴りあっています。そのグランドセントラル駅の中では、針金が突き出ているバックパックを背負った人が爆弾所持の疑いで警察に連れて行かれた、というニュースも流れてきました。
色々なことがわかり始めたのはその日の午後過ぎだったと思います。と同時に、テレビでは亡くなった人々の名前が次々に流れ、当時私が担当していたみずほ銀行の前身であるDKBの総務の人の名前もその中に上がっていました。彼とは9月9日にツインタワーで会っています。銀行の統合に向けて新しいディーリングルームを構築しているところで、彼は週末も返上して働いていました。
「もうすぐ終わるんですよ。」そう言っていました。
私の家は88丁目で、現場からはずいぶん離れていますが、あの煙と臭いはうちの近所にも蔓延していました。確か59丁目あたりに警察がロープを張ってそれ以上ダウンタウンに行かれないように閉鎖されていました。そして、そのロープの遥か先には煙がもうもうと立ち上っているのが見えました。その煙はかなり長いこと静まることはありませんでした。
そして、9月11日の晩、まだ暑くて網戸を取り付けたままでいる窓から、キラキラと金色に光る玉が家の中に飛び込んでくるのがみえました。窓のすぐそばに置いてあった背の高い観葉植物の植木の後ろにその玉は消えたのですが、それきり家の中のどこを探しても見当たりませんでした。あの9月11日の晩には、何が起こってもおかしくなかっただろうなと今でも思います。





