最近の藤井風さんの活躍は凄いですね。
色んな所から名前が聞こえてきます。
このブログは誰にも読まれていないと思うので、彼がデビューした2020年が終わる前に改行もろくにせず思っていることを書き留めておこうと思う。
まず10月の武道館のライブが素晴らしかった。
配信なのに前半が終わった時点で「4500円安すぎんか」と思っていました。
人は素晴らしすぎるものを見たとき何も言えなくなるみたい。
緊張は少し見えながらもプロのショーマンだった。当たり前なんだけど。
藤井風さんのすごいところについては夫婦でよく話すけれどいつもだいたいこの3つ行き着く。
1.ほしいところに音がある
カバー動画では多くの曲を耳コピしているけれど、聞こえた音をほとんど取りこぼしなくピアノに落とし込みアレンジしてしまうのでいつもほしいところに音がある。大好きな曲というのは誰でもきっと「この曲のここの部分が好き」という箇所があって、そこがポイントだということも藤井さんは天性と計算で分かっていてそこを取りこぼさない。だから原曲ファンからも支持される、と思っている。
私はフジファブリックのファンなので若者のすべてのカバーがアップされた当時はふうん、Mステ出たしね。と冷めた目で見ていたし、気が向いたときに見ようと再生ボタンは押さなかった。後日たまたま作業中に自動再生で藤井さんの若者のすべてが流れたとき、心臓がギュッと掴まれたように苦しくなった。フジファブリックの若者のすべてを初めて聞いたときのような感覚だった。
私が一番大事だと思っている夕方5時のチャイムを表す(と勝手に思っている)ぽーん、ぽーんと鳴り続けるピアノのパートそのままにギター、ベースのパートをピアノで淡々と表現し抑揚をあまり付けず歌う。ラスサビで歩き、走り出すように迫る演奏も歌も藤井さんのカバーはそのまま表現していた。ほしいところに音がある。歌詞を間違えているところさえちょっと志村っぽい。
吹奏楽で演奏される宝島なんかはコメント欄に「全部の楽器のパートが聴こえる」と書かれているのがそれを象徴していると思う。
藤井さんはクラップがほしいときは普通の人が演奏中手を離せないような箇所でもものすごい速さで鍵盤から手を離して足や手を叩いて何としてもそのパン!を入れる。原曲において大切なポイントは絶対に外さない。聞き手に「なんか寂しいな」という感覚をおこさせない。
ピアノのみのカバーのときは歌い手の癖までメロディーラインで表現するからピアノが感情をのせて歌っているように聞こえるし、原曲を知っている人も違和感なく世界観に入り込める。
聞いてて気持ちいい、という感覚を作って魅せる。
欲しいところに音がある積み重ねがもりに盛り込まれたオリジナルが何回聞いても気持ちよく飽きないのは、そういうポイントを随所に作れる藤井さんならではだと思う。7とテンションばかりのとんでもないコードを彼の特徴と捉え活かしたまま大胆なアレンジを施すyaffleさんのプロデュースというのは人選として本当にぴったりだったんではないかなと思う。
2.そこらへんでなってる音が全部藤井風に味方する
アップする動画も後半になってくるとコーラスを重ねたり手拍子を入れたりメトロノームが入っていたりするけれど、初期のものは基本的にそういうものがない。代わりに外の雨音、車が濡れた車道を走る音、雷、犬の鳴き声、セミの鳴き声などなど、季節や天気を感じる音が入っている。雨音やセミの鳴き声は歌の内容とも合っていて本当によく計算されている。全部計算したものだと思うけれど、どれをとっても結局藤井さんの音楽の一部になってしまう。それはやっぱり、音を愛してるがゆえに音を味方につけることができる、それが全てな気がする。
そんなふうに思っているので自身の作品は感覚派なのかなと思っていたけれど楽譜の解説を見たら全然違った。音楽理論と計算、そして音楽に触れ合う気が遠くなるような時間、が藤井風の音楽を作っているんだと思う。想像をいつでも軽くとんでもねぇ勢いで超えてくる。
3.遊び心
藤井さんは「すぐわかる面白さ」と、「意味がわかるとちょっと気持ちいい」ことをよく取り入れる。
すぐわかる面白さはカバー動画のコスプレなど。後者は例えばaikoもっとのカバー動画。ピアノの上には珍しく一輪の花が乗っていて、特に触れることなく動画は終わる。が、その花は黄色いバラで、その花言葉は「愛情の薄らぎ」「嫉妬」。歌詞にも花を摘む箇所があって一輪にしたのは歌詞に合わせてるのかもしれない。
本人がつけた字幕にはたまに心の声やサンプリングの元ネタが入ってたりする。でも、概要欄は相変わらず耳コピ、とかばっかりで字幕ありますとかこれはこういう意味ですなんて絶対に言わない。気付かない人もたくさんいると思う。でも、絶対に言わない。映像の中だけで完結する。
たとえばもうええわの英語訳も毎回もうええわの部分の英語が変わっている。ニュアンスが違ったんだとここで初めてわかる。
そういう所を見つけた人が笑ったり、嬉しくなったり、意味がわかるとちょっと気持ちよくなる。ものすごくいい作品におまけまでつけてもらったような気持ちになる。
遊び心は音楽だけじゃなく彼の作品に随所に散りばめられていて、次は何が起きるか興味をそそられる。
うーん。何なんwに出会って本当にびっくりしてからもう一年くらい。正直オリジナルを期待していなかったなんて恥ずかしくてもう絶対に言えない。だってカバー出身の人は大きな期待を背負ってデビューしてもそのイメージから脱出することにすごく苦労する。それはしかたないこと。
でも彼はそんなことどこ吹く「風」で、オリジナルからのファンをじわじわと着実に増やしている。
彼のこれからを楽しみに過ごす人生は愉しい。
感謝。