~ 海賊チャンの部屋の中 ~
「よう、着替え終わったか」
さぁてどうする、ベッドは1つしかねぇしなぁ …男のフリさすのはいいが、手下どもと同じ部屋で寝かす訳にもいかねぇし …
「はい、終わりました … 」
海賊のチャンさんは痩せて見えるのに、真っ白な厚地のシャツがダブダブです …そ、袖口が長くて、手が出ない …
「何やってんだよ、腕んとこ、捲ってやるからこっち来い … 」
見るからにトロくせぇから、俺の部屋で預かるしかねぇな、こりゃ …「あ、はい、有難うございます … 」
言葉づかいは最悪だけど、良い人なのかもしれない …孤児院にいた時、何度も見た絵本に出てくる海賊は悪~い人達だったけど …
「お前ぇ、どっから来た」
コイツの来てた紺色の服、海賊の俺でさえ見た事ぁねぇぞ …兵隊の軍服みてぇだが、下は足が太ももまで見えそうなヒラヒラした奴だったしよ …
あんなモン着て、陸に放り出したらアッちゅう間に身ぐるみ剥がされて、娼館に売り飛ばされちまうぞ …
「ネズミ~ランドの、カリブ~の海賊船っていうアトラクションです」
そ、そうだ、私は元の時代に戻れるのかな、一緒に乗ってたユリや院長先生も心配してるはず …何か、急に哀しくなって来ちゃった …
クスン、クスン、クスン …
「お、おいっ、泣くんじゃねぇよ。あ~、どこから来たって構わねぇから、言いたくなきゃ言わなくていい。疲れただろ、お前ぇ寝るか… 」
俺ぁ、女に泣かれんのは一番苦手なんだよ、参ったなぁ …ネズミ~とかカリブ~とか、コイツが何言ってんだかサッパリ分からねぇし、あまり深く聞かねぇ方がいいな …
グウゥゥ …
「あっ … 」
キャアァ~、恥ずかしい …お腹が鳴っちゃった、だから余計に哀しくなったのかも …
「何だよ、お前ぇ腹減ってんのか」
ハァ~、色気の欠片もねぇなぁ …早いとこ、こんなガキくせぇ奴ぁ家に帰してやらねぇと …
「は、はい … 多分 … 」
カリブ~の海賊船に乗った時は夕方だったのに、この世界は夜みたいだから夕飯を食べてないはず …
「仕方ねぇなぁ、船の夕飯は早ぇんだよ。果物でも食うか … 」
「は、はい、好き嫌いはないです」
食べ物は何でも神様に感謝して頂かないといけないって、院長様に教わって来ましたから …「あ~、じゃあ、これ食っていいぞ」
南方の珍しい食いモンなんか、コイツぁ分かるかなぁ …「あ、バナナですね。私、大好物なんです。いただきま~す」
キャ~、嬉しい~こんな所で、大好きなバナナが食べれるなんて …
何か、元にいたファン国に戻れそうな気がしてきちゃった …
モグモグ、モグモグ …
「おい、がっつくんじゃねぇよ」
ハァ~、とんだサル女を拾っちまったなぁ … 赤い尻を突き出して来る、熟れ熟れのメスザルなら良かったのによ …
バナナを両手で頬張るコイツぁ、まるで食いしん坊な子ザルだぜ …
ま~、女っちゃあ女だが、子ザルを抱く趣味はねぇからなぁ …
「ハウッ、ウグッ、ウック~」
い、急いで食べ過ぎて、喉に詰まっちゃいましたぁ~く、苦しい … お、お水 …
「ゲッ、だから言わんこっちゃねぇ、ほらっ、これ飲めよっ!」
勘弁してくれよ、子ザル女め …ゴク、ゴク、ゴク …
「プハァ~、こ、これ美味しいジュースですね、海賊のチャンさん … 」
最初は苦かったけど、味に慣れると甘くてフルーツの香り …「おいっ、しっかりしろよ!何でぇ、お前ぇワインも飲んだ事ねぇのかっ、ジュースじゃねぇよっ!」
コ・ミニョ、お前ぇは一体どこの裏山から来た子ザルなんだ …「チャンさぁ~ん、エヘヘ、私、眠くなっちゃいましたぁ~」
あ~、スゴ~く良い気分、バナナ美味しかったぁ …『ワイン』って名前のフワフワするジュースも …
ムギュウゥゥ~
「うおっ、何、いきなり抱きついてんだっ!お前ぇ、襲っちまうぞっ!」
な、何だぁ~、この子ザル女は … こんな無防備な女ぁ、初めて見たぜ …送る場所を間違えちまったら、本当にどんな目に遭っちまうか …
こりゃ、コイツん家の玄関先まで連れてかねぇと、危なっかしくて置いてこれねぇぞ …
何で、海賊の俺が寝かしつけなきゃなんねぇんだよ …
フワリ …
あ~、ま~、やっぱり女だ、見た目より軽いしスゲェ柔けぇ …
そう言やぁ、この部屋に女を連れて来た事ぁなかったからなぁ …
海の上の夜は冷えるし、抱き枕みてぇにして寝るか、コ・ミニョ …


