~ 引き続き、馬車の中 ~
「ミニョ … 愛してる … サランヘ … 」
城外である解放感と今までにないシチュエーションに、ミニョの身体をまさぐるテギョンの手が激しさを増す。
「テギョン様 … 」
それを甘んじて受け入れるミニョの奥底も、花びらが一枚一枚開くようにジワリと潤って来る。
『こんな時間』『こんな場所』だからこそ、愛し合う若い二人の勢いは止まらない。
『神様以外に、結婚したいと思った人はテギョン様しか居ません』というミニョの言葉に、テギョンの心はいつもにも増して奮い起った。
ミニョと一分一秒でも早く重なり合い、その言葉の真意を確かめたい。
「ミニョ … 城に着くまで待てない」
「え … でも … まだ … 明るいですし … 御者の方も … 近くに … 」
重なる唇の隙間から、吐息と一緒に恥じらうミニョの声が途切れ途切れに漏れ出るが …
既にそれは熱を帯びていて、テギョンにはミニョのOKサインに聞こえる。
「暗ければいいのか … 」
「えっ … 」
その先を聞きたくても、テギョンの唇や手に遮られたミニョは、堪らず目を閉じた …
「御者が、この馬車の側に居なければいいんだな … 」
「えっ … な、何ですか … 」
「フン、見てろ … 」
恐ろしく色香を帯びた表情をガラッと変えたテギョンは、得意の片方の頬を上げた笑顔でミニョを見下ろした。
ガタンッ、ギギィ …
「おい、御者っ、今から30分 … いや … 」
馬車のドアをいきなり開けたテギョンは、木陰で腰を下ろしていた御者に向かって叫んだ。
「テ、テギョン様 … ?」
驚いた顔で見上げるミニョをチラッと覗いたテギョンは、途中まで話した内容を訂正した。
「湖の周囲を1時間かけて回って来い。その間、この馬車には絶対に近寄るな」
「はい … かしこまりました … 」
恭しく頭を下げた年配の御者は、長年、ファン国城の王族に使えるベテランで馬車の扱いに長けている。
外出嫌いなテギョンが、ミニョとマテを伴い城の敷地内を馬車で散策する為、わざわざ呼んだ一番の使い手だった。
「テギョン様、どういう事ですか」
ミニョは状況が掴めず、不安そうな顔をしている。
「フン、念には念を入れないとな。俺の妃は、欲張りな上に忘れっぽくて困る」
「そ、そんな … 」
( ま、まさか … こんな所で … )
ギギィ … バタンッ … ガチャリ …
テギョンが馬車のドアを閉めると、ミニョの鼓動は音が外に聞こえそうなくらい、ドキドキと早まった。
「それと … コレだな … 」
ニヤリとしたままのテギョンは、ミニョにはただの飾りのように見えていた窓のカーテンをサッと引いた。
「あっ … テギョン様、馬車の中が … く、暗くなりました … 」
「驚いたか、暗い所が好きなお前の為だ。まあ、ひいては … コ・ミニョ … お前に、こうする為だ … 」
「あっ、テギョン様 … 」
再びミニョを自分に引き寄せたテギョンは、まるで予定通りだと言いたげにドレスのチャックを引き下ろした。
「フッ、いつものジャマなコルセットは、身につけてないな … 」
ミニョの身体にキツく巻き付くコルセットは、時としてマテよりも強力なテギョンのライバルとなる。
「だ、だって … テギョン様が、舞踏会ではないから付けて来るなって … 」
「嘘はついてない、ここは湖のほとりだ … そして、お前と俺と … マテしか居ない … 」
せっかくファン国城の外へ出るのだからと、敷地内の地図を片手に、今日のデートコースをテギョンは数日前から考えていた。
『コルセットを身につけるな』とミニョに言いつけて来たテギョンが、最初からそのつもりだったのかは …
真っ赤になって固まるミニョに、構わず抱きついて迫るテギョンにしか分からない …



