フッ … コ・ミニョの奴 … コーヒーもろくに飲んだ事ねぇのに、あの店で働くつもりなんだなぁ …
あんな旨ぇコーヒーはなかなかねぇのに、『苦っ … 』とか言って、砂糖とミルクをドボドボ入れてるしよ …
まぁ何にせよ、あの救護室のやたら背の高ぇ看護士の女と、スンドンのオッサンに感謝しなきゃなぁ …
とりあえず『コピ』に行きゃ、コ・ミニョに逢えんだろ … ゲームのスタートは断然、俺が有利じゃねぇか …
それにしてもアイツぁ、よく笑って … よく動くなぁ … 見てて飽きなくて結局、閉店まで居座っちまって …
スンドンのオッサン、変な風に思ってなかったなぁ … あの看護士女も最後まで俺を見張るように居やがって …
しっかし、行きつけの『コピ』でバイト始めるわ、学生寮は同じで隣り合わせだわ、コ・ミニョを早くモノにしろって言われてるようだぜ …
ガキくせぇ分、難攻不落みてぇだが … 簡単に堕ちる女なんか、面白くねぇからなぁ …
アイツぁ、全く男の経験がなさそうだから、ジワジワと攻めがいがありそうだぜ …
口うるせぇ寮母のミジャさんに聞いたら、俺のいる男子寮に新入りの1年は
居なかったみてぇだから、コ・ミニョの兄貴は別の学生寮みてぇだなぁ。
ここは一番、大学から近くて人気だから出る奴は卒業生ぐれぇだし …
女は自宅から通学する奴が多いから、1年生のコ・ミニョでもここに入れたんだな … 元々、大学に女は少ねぇし …
コ・ミニョ、どうする … お前ぇに勝ち目はねぇぞ … 今度は気絶させねぇように、ゆっくり舌入れてやるから …
早いうちに、白旗上げて降参した方がいいぜ … 俺の気が変わらねぇうちによ …
キキィ … バタン …
おっ、カートの奴 … 帰って来たな …
「何だよ、チャン … ニヤつきやがって … お前ぇ、何か女絡みで良い事でもあったのか … 」
「ああ、カート、もうバンドの練習は終わったのか … 」
俺とカートは、ずっとファン大学の幼稚舎からエスカレーター式に今まで来てて、ガキの頃からのダチだ。
大概、これってサークルにも入ってねぇ俺の方が先に部屋へ帰ってる。
他の野郎と同室なんてゴメンだから、カートの親から手ぇ回して貰って、高校1年の時からコイツとはルームメイトだ。
互いの親がここの理事長と知り合いらしくて、いわゆる『コネ』で大して成績は良くねぇのに、俺達ぁ難なくファン大学に入った。
それでもカートは俺と違って要領悪ぃから、1~2年の一般教養の科目をいくつも落としまくってる … 3年への進級も危うかったしよ …
当のカート本人は全く気にしてねぇが、奴の頭ん中にゃ音符と女の裸しか入ってねぇからなぁ …
ファン大学は全国から優秀な学生を集める為とか何とかで、高校から学生寮がある。
カートも有名な音楽一家の跡取り息子で将来、親の仕事を継ぐ代わりに大学卒業までは好き勝手にやらせてもらうってぇ言って、俺と一緒に高校ん時から学生寮に入ってんだが …
アイツんとこの両親は、俺ん家と違って仲が良いし、育ちの良い本物のボンボンだ。
「チャン、珍しく機嫌良さそうじゃねぇか … 昨夜は帰って来なかったみてぇだが、良い女でも抱いたのか」
『良い女』だぁ … あ、そう言やぁ、昨夜はこの部屋に帰らず、ホテルに泊まったんだっけ … すっかり忘れてちまってたぜ …
さすがに学生寮の部屋に、やたらと女は引っ張りこめねぇし、俺ぁここに住んでるってぇ事も言わねぇ主義だ。
遊びの女は、面倒だから大学の外で拾ってくるしなぁ … プライベートな空間には、なるべく他人は入れたくねぇ …
「そんなんじゃねぇよ。昨夜の女はロクなモンじゃなかったぜ … 人の携帯を盗み見ようとするしよ … 」
「かぁ~、ムカつく野郎だなぁ、チャン。相変わらず携帯番号も教えねぇで、女を口説けんのかよ。俺なんか自分から番号を教えてんのに、全然かかって来ねぇんだぜ … 」
カート、お前ぇはバカだなぁ … 昔っから変わらねぇ … 女好きなクセに口説くのが下手でよ …
「お前ぇ、酔っ払うと音楽と筋肉自慢しかしねぇじゃねぇか。あれじゃ、女がその気になってても引いちまうぜ」
「フン、余計なお世話だね。誰にも本気にならねぇ、チャンよりマシさ。俺はどんな女にも、真心を持って携帯番号を書いた紙を渡すからなぁ」
ププッ … やっぱりカート、お前ぇの頭ん中は空っぽだぜ … 笑わせてくれんじゃねぇか …
そんな表裏のねぇお前ぇぐれぇしか、俺ぁ腹ん中を見せれやしねぇ …
「へぇ、無理矢理、酔った女の上着のポケットに紙切れを突っ込んでも、真心ってぇのがあんのか、カート」
「ハハハ … 当ったり前だろうが … 何だよ、昨夜の女じゃなくて昼間、また別の女でも拾ったのか、チャン」
ギクッ …
さすがに長ぇ付き合いだから勘が鋭ぇなぁ、カート … それとも俺の顔に締まりがねぇのか …
コ・ミニョのエプロン姿が目に焼きついちまって、消えねぇんだ …
アイツぁ今日、俺が講堂の裏に連れ込んだ時に着てたスーツの上着を『コピ』じゃ脱いでやがって …
丸見えになった真っ白のブラウスはサイズが合ってねぇのか、胸の辺りがムチムチしてて …
『コピ』のキッチンの中で、コ・ミニョが中腰になる度、ボタンがはち切れそうでヒヤヒヤしたぜ …
長い髪の毛をゴムで結んで、鼻歌しながら嬉しそうに食器洗いしてたな …
「まぁなぁ … 見た目の発育はバッチリなんだが、中身がてんでガキくせぇ女と偶然、会っちまったんだ … 」
「フ~ン、珍しいなぁ … チャンが相手の女を、そこまでじっくり観察してるなんて … 今度は、マジ惚れか」
「ハンッ、そんなんじゃねぇよ。からかうと面白そうな、どんくせぇ女だ。飽きるまで遊んでやるのさ」
「へへっ … そうか、そうかぁ … どんなイイ女でも一回こっきりしか抱かねぇお前ぇが、続けて相手にしてぇとまで思った女を俺も見てぇなぁ。どこの女だ、ファン大学の学生か?」
「ああ、歌が好きらしいぜ」
「おお、声楽科かぁ … 確かに女ばっかりだ。俺と同じ、音楽学部の女は全員の顔を覚えてるが、チャン好みの女なんか、いたかなぁ … 新入りか」
「ああ、まぁなぁ … 道端で拾ってツバつけといてやったのさ … 」
「何だよ、チャン … お前ぇ、手ぇ早ぇなぁ … もう口説いたのかよ」
「バ~カ … 今度ばかりは、そう簡単にはいかねぇんだよ」
初っぱなから、ちぃっとヤり過ぎて一気に警戒されちまったが … とりあえず名前と学年だけは覚えさせた …
あれだけの事をしたんだ … いくらアイツがのんびりした女でも、俺の事を忘れたりはしねぇだろ …
「へぇ … 新入りなら話が早ぇ。明日の新入生歓迎会で、俺のバンドが出るからバックヤードの雑用を手伝ってくれよ、チャン … 」
「またかよ … お前ぇの追っかけ女をさばくのは大変なんだぞ … カート」
「まあ、そう言うなよ。その女は俺と同じ音楽学部だから、落とした一般教養の講義、一緒に受けれるぜ」
「フフン … 最初からそのつもりさ、カート。明日は仕方なく付き合ってやるから、講義の件は頼んだぜ … 」
「分かってるさ、チャン … どんな可愛い子ちゃんか、教えろよな … 」
何だよ、カート … ニヤニヤしやがって … お前ぇには勿体なくて、本当は教えたくねぇんだけどよ …
「コ・ミニョだ … 髪の毛が長くて … 俺の肩ぐれぇの背で、胸と尻がデケェ女さ … 」
「フ~ン、俺も好きだぜ、ナイスバディな女 … 」
「カート、アイツに手ぇ出したらタダじゃおかねぇぞ … 」
「分かってるぜ~、チャンは怒らせたら怖いからなぁ~、ミニョちゃ~んって呼ぶぐらいにするさ」
「お前ぇ、そんな呼び方すんじゃねぇぞ、おいっ!馴れ馴れしいだろっ!」
「ハハハ … ミニョちゃんに言いつけてやるぜぇ、チャンは怒りっぽくて女ったらしなんですよ~ってなぁ … 」
「この野郎、もういっぺん、言ってみろ … この部屋にある高そうな楽器を粉々にしてやるぞっ!」
「お~い、チャン!そりゃないぜぇ」
共用スペースの学生寮の食堂で、イヤでも逢っちまうだろうし … アイツに俺をアピールする機会は、多い方がいいからなぁ …
こんなカートみてぇな、ふざけた野郎をアテにすんのも情けねぇが … あのコ・ミニョを落とすには手段は選べねぇ …
おい、コ・ミニョ … そのうち、お前ぇのデケェ胸の上で、この俺だけに『子守唄』を歌わせてやるからな …


