肉体と精神の拘束 徐々に溶けていく やる気を奮い立たせて

 

5月27日に入院して、6月3日に退院しました。これで終わりではありません。来週には外来を受診して血液検査をします。さらにその先一週間後にも同様の検体検査をします。そしてその一週間後に第二回目の入院日がやってきます

 

食道がんの化学療法。初体験をしてきましたよ。この歳(74歳)になっても初めてというのは、わくわくの期待と、どうなるんだろうという不安と、ないまぜになるもんでありますよ。

でもね、好奇心旺盛を維持できていたからメモ帳には逐一メモを残しましたさ。そこで、何がびっくりしたかつぅ~~とだな、入院2日目の点滴からは1剤は24時間持続点滴なんすよ。

 

24時間!

 

はじめは左手首に末梢留置カテーテルが設置され、ピギーバック法によって3剤がセットされましたがな。

 

1剤は30分、2剤は2時間、そして3剤目が持続点滴なんすな。点滴スタンドを押しての歩行は許されています。だけどね、点滴チューブがついた腕のままウロチョロ歩くわけにいかんわな。

ベッド上に居続けることになるっちゃ。でね、ふと気づくとチャンバー(点滴筒)をじぃ~~っと見つめとるんすわ。ちゃんと滴下しとるんだろうか、と

 

というのも、手首の角度によって滴下数が変化するんすよ。時には滴下が止まることも。昼間はまだね意識はあるからいいけんどさ、問題は夜中でごわすよ。

 

なんてったって3リットルもの薬剤が点滴で注入されとるんよ。ほぼ2時間ごとにトイレに行くことになるっちゃ。夜中もだっちゃ。すると、戻ってきてベッドに横になるっしょ。滴下が気になるんよ。

そこで、持参している小さなペンライトでチャンバーを照射して確認するの。ああ、落ちとる、落ちとる、目をつむってもよかんべさ

 

というような入院生活を一週間続けてごらんなんしょ。尋常な精神状態ではなくなるんだな。初めての体験ではありますよ。

 

とはいえ、6月3日、退院です。カミさんが退院後の生活指導を聞くために迎えに来てくれましたさ。これは病院側からの要請もあるんだけれど、同席してくれてよかったです。

というのは、病院からの帰宅路、気にも留めてなかったんだけれどさ、家に入ってからは「無気力」が襲ってきたんすよ。なぁ~~んにもする気が起きないんす。

 

午後になって、ふと気づくのが後頭部のもやもやぼぉ~~~っっとした違和感。だるいわけじゃないんだけれど、何にもする気にならない。

 

家のベッドに横になったら1時間くらい昼寝をしちまったんでごわす。

 

家に戻ったら「入院リポート」でも書こうかなと思ってはいたんすよ。でもね、PCを立ち上げることもせなんだわい。

 

でね、昨日4日も一日中おんなじ。ぼぉ~~~っとしたまんま

 

人間は考える葦である、か? 一週間拘束状態、自由刑状態にあると、「考えなくなる」んよ。

 

考える力は、よっぽど覚悟しとらんと、あっという間に消し去られてしまうけんね。この度は重々身にしみて感じましたわ。何を考えているのか、何を考えていればいいのか、何を考えたいのか、わやわやでごじゃりまする

 

無気力、混乱の極み、精神が溶け出してゆく

と書いていても、まだ後頭部のもやもや状態は解消されていません。支離滅裂なリポート第一弾は、これにて筆をおくと致しましょう程に。気が向いたら、近々続編、きちんとした闘病リポートをと思っとりますけん。

 

窓を開け 薫風浴びる 退院日 (秋望)