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空間に身を置く 杉の温かみに包まれて 庇という文化

 

 

新宿区の南元町を写真ミニ旅散歩をしています。広大なみなみもと町公園を出てから鮫河橋せきとめ稲荷、香蓮寺、本迹寺、林光寺と住宅街の中の寺社を見学してきました。林光寺前の道は緩やかな上り坂になっています。

 

 

この一角は港区と新宿区の境界線が通っています。左側にある電柱の住居表示は元赤坂になっています。元赤坂は港区です。

 

 

正面に道路標識が見えました。左右に通っているのは外苑東通りです。その道は正面の高台にあります。その昔は都電33系統が走っていました。道路表示板でY字になっているのは左右から坂道が下りてきてカメラ位置の直線道に出てきます;。

 

 

みなみ児童遊園です。元赤坂にあるのに新宿区立の公園です。

 

 

みなみもと町公園に比べると小さい児童遊園だけれどランドセルを背負った学校帰りの児童が何やら笑顔で話しています。いいですよね、都市空間にはちょっとした憩いの空間が必要です。あきぼうが散歩で路地が好きなのも、ヒョイと角を曲がって井戸を囲んだ小さな広場があるとホッとするんですよね。

 

 

悲しいのは砂場のフェンス囲いですね。人畜共通感染症予防のために、犬や猫が砂場に入って糞尿をしないようにしているフェンスなんだけれど、どのくらい浸透しているのでしょうかね。大人への啓もう普及に加えて幼稚園や小学校、中高など成長過程の理解度に合わせた指導が必要なのではないでしょうか。

 

 

公園の向かい側、高台の際にある坂道です。千日坂です。

 

 

「坂道の下の低地は一行院千日寺があるため千日谷と呼ばれた」と千日谷の解説文があります。また、台地の上の都電の走っている外苑東通りの拡幅工事があった関係でかつての千日坂は消滅して、新たに作られた坂で、新千日坂というべきなのかもしれないとも書いてあります。

 

 

この坂道は南元町になっています。また新宿区に戻ってきたというわけですね。区界、県境を散歩するとこういう楽しみもあります。

 

 

坂を上ってきたらコンクリートブロックのような建造物に竹が寄り添って植えられていました。

 

 

江戸時代の金工岩本昆寛の墓がありました。刀のつばなどを作っていたのでしょうか。

 

 

「葉桜やこころ静かに書をひらく」(紋洋)との句碑がありました。今から50年ほど前に岩本昆寛を顕彰する記念として建てられたそうです。

 

 

岩本昆寛の墓を過ぎると、舟形光背に地蔵尊が彫られた八千日供養塔がありました。

 

 

一行院千日寺の入り口です。頭上には首都高速4号新宿線の外苑出口ランプが覆いかぶさっています。千日坂はまだ登っています。

 

 

外苑出口ランプの先に一行院が見えました。

 

 

かつての一行院千日寺、千日谷会堂をご存知の方には、ここがあの一行院なのと驚かれるかもしれませんね。

 

 

舎利塔もすっかり建て替わりました。

 

 

一行院の有形文化財についての説明板が出ていました。

 

浄土宗の永固山一行院千日寺は、江戸幕府が開かれて間もなく、譜代大名永井直勝が下屋敷を拝領して、この地に僧侶になった家臣のために、庵を建てて一行院と称しました。千日ごとに供養の行をしたことから千日寺となったそうです。

 

 

2017(平成29)年7月に、建築家隈研吾氏設計による新本堂が完成しました。

 

 

客殿の正面玄関です。

 

 

新本堂に安置されているご本尊と脇侍です。中央の三尊像の手前の左側には浄土宗の宗祖法然上人像、右側には中国・唐時代に中国浄土教を確立した高祖善導大師像が安置されています。

 

 

ご本尊は阿弥陀如来。左側に勢至菩薩、右側に観音菩薩が配置された阿弥陀三尊像が安置されています。

 

 

客殿内の浄苑へ向かうロビー。杉材の壁が温かみを感じさせます。間接照明のやさしい空間が落ち着きを演出しています。

 

 

今年には既存の舎利塔の改修を終えてすっかり趣を一新しました。

 

 

新しくなった舎利塔の一階正面には涅槃仏絵が掲げられています。

 

 

合掌童子も前庭にいらっしゃいます。

 

 

国立競技場、神楽坂の赤城神社なども手掛けている建築家隈研吾氏は、千日谷会堂を新築するにあたり、新しい仏教空間の提案をしたとのことで、そのひとつが大屋根のアルミ丸瓦と杉板の大和張りとのこと。

 

 

庇と杉板塀が作り出す空間が落ち着きを表しています。

 

 

一行院千日寺は、広大な寺領を持っていましたが現在のJR中央線の拡幅、外苑東通りの拡幅、首都高速4号新宿線の建設などがあって、長い歴史の中で面積を狭めてきたとのこと。今回の改修新築に際しては、地下の利用を進めたとのことです。都市にある寺院の新しい姿といえるでしょう。

 

大雪や 夜着に一枚 重ねおり (秋望)

 

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