来年8月の全米新作公開が発表された映画「エイリアン」。

昔から大好きな映画なんですが、最近またサブスクでリドリー スコット監督シリーズの最新作「プロメテウス」「コヴァナント」を立て続けに2本、観直してしまいました。

 

とにかくあの連中(もちろんエイリアンね)の、生き残ろうという欲求というか、自分を捨てても遺伝子レベルでも次世代に生き残ろうという執念がすさまじいわけで。それを実に丁寧に描写していて、何度観てもやっぱり毎回食い入るように観てしまう訳です。

 

映像もそうですが、丁寧に作りこまれたものが飽きられないのは、例えば模型や模型用のツールも同じかもしれません。

 

先日静岡で開催されましたSCM展示会で改めて感じたのは「周知不足」と「自分の力不足」。

例えば、空前の大ヒットを飛ばしたGUNPRIMER ゲートリムーバーセットは、GPARTSを使ったことが無い方でもご存知のモデラーさんも多いと思います。

 

 

下のリンクは2019年の5月の当ブログ記事です。

 

この後、同じ年の8月にホビージャパンにも掲載して頂くことになり、以後様々な店舗様で取り扱いを頂けるほど認知度が上がりました。実は今でも毎月相当数を出荷する人気商品です。
 
ところが、前回記事に書きました今年の展示会では、この製品もご存知ない方も大勢ブースにお越しになるような状況でした。文字通り「ゼロから繰り返し説明」のような状況も何度もあり、結構声が枯れました 笑
 
つまり模型を作る方々というのは基本的に新陳代謝を繰り返していて、当然飽きてしまったり、様々な理由で続けられなくなったりと、既存のモデラーさんはこの趣味から徐々に卒業していかれます。もちろん同時に、新しいモデラーさんも少しづつ増加します。
 
しかし、そんな中でのツール的遺伝子というのは、必ずしもうまく繋がっていかないものです。
 
それは、最近ではコロナ渦で多くの展示会などが開催されなくなるなど、直接的な交流の場が減少したこともあります。
また、徐々に直接的なつながりの薄いSNSがモデラー交流の場の主流になりつつあることも原因かもしれませんが、もっと言えば、我々のような販売店やメーカーが、新しい製品の開発や販売にばかり注力し「既存品の使い方やメリット・デメリットを繰り返し丁寧に伝える努力が不十分であること」も原因のひとつです。
 
そんなわけで今日は旧キットストライクフリーダムの脚のパーツに絞って、このちょっと前の大ヒットツール、ゲートリムーバーセットの力を改めてご覧いただくことにしました。
このパーツ、一つの部品で直線(面)、R状、逆R状の合わせ目、入り組んだ部位などが混在するテストに非常にいい部品です。
まず、平面やR面はゲートリムーバーセットのRASER v1.5(単品 GUNPRIMER - レーザーオリジン)で簡単に処理できます。
このあと、セットの説明にある通り、バランサーホワイト(単品 GUNPRIMER - BALANCER WHITE(バランサー ホワイト)3個セット)とリカバー(単品 GUNPRIMER - RECOVER(リカバー)2枚セット)を使用した状態が下の画像です。
 
 
ではこの脛のような逆R部位はどうか。
逆R形状はレーザーオリジン、もしくはレーザープラスが最も不得意とする部位です。
反った形状なので、平型のヤスリで処理すると部分的にしか削れません。
 
そんなわけでこの箇所はGUNPRIMER - サンドループ FLEX(フレックス)【#600】(3枚入)を使用します。もちろん、逆R用なので、ほかのスポンジヤスリなどでもいいですが、できるだけ高番手が理想です。

 

 

合わせ目処理に時間をかけないようにするため、高番手を選びました。600番をかけただけでこの状態に持って行けます。

 

その後、セオリー通りにバランサーホワイト → リカバーの順で処理をします。

 

コーナー部位も同じサンドループフレックスでも大丈夫です。


このようにすべての製品にはメリットとデメリットがあり、いずれも万能は絶対にありません。できないことが必ずあります。
ゲートリムーバーセットだけで全て何とかしようなど、土台無理な話です。
 
その場合に必要なのは、使う人間の知恵と工夫。通り一遍の手法の説明に終始するだけでは、きちんと遺伝子は残せません。
 
ツールを使う人の遺伝子は、使う人から使う人に受け継がれていかなければ意味がないわけで、我々ツールを扱う側(作る側だけでなく売る側も)は、知恵と工夫のシナプスを1本でも多く繋げて、遺伝子を残していく方法を常に模索し続けなければならないのです。
 
今回の展示会でもうひとつ印象的だったのは、
 
「さっき〇〇さんから、このツールいいよ!って聞いてきました!」

というお客様がとても多かったことです。私が別のお客様に説明しているのを、横でじっと聞いてらっしゃるお客様もいらっしゃいました。
 
遺伝子なんて簡単には残せませんが、例えば結構繰り返し観てるのに、また何度でも観られる映画というのは実際丁寧で、実に生命力にあふれていますよね。
 
それは、冒頭の「エイリアン」はもちろん、「カリオストロの城」や「風の谷のナウシカ」のようなジブリの名作にも共通する『丁寧な作りこみ』というところに行き着くのではないかと思います。
丁寧に説明できる場を持つことや、しっかりしたコンセプトや練られた製品を作ること、それは遺伝子を確実に残す唯一の方法かもしれませんね。