法人税減税は本当に大企業優遇なの? | 空き地のブログ

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法人税減税については一部で「大企業優遇」とか「新自由主義的(要出典)」とか言われているようですが、世界を見渡せば法人税を引き下げるのがトレンドであり、日本だけ高い法人税率を維持するというのは得策ではないように思います。

アメリカの法人税率が日本より高いことを以て「法人税減税は不要だ!」という意見もあるようですが、新自由主義(笑)の本場とされるアメリカの法人税率が高いのなら、法人税率の維持を主張することの方が新自由主義的(爆)ということにはならないのでしょうか?

法人税減税はけしからん!」という意見の一方で、「そもそも法人から税を取ること自体がおかしい」という意見もあります。法人に入る利益は最終的には法人に関係する“個人”の収入になるため、個人ベースでの課税が徹底できれば本来的には法人から税を徴収することは二重課税に当たる、という理屈です。

参照:
法人税を下げる「本当の理由」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36298

財務省が隠したがる「徴収漏れ」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39184

個人への課税が徹底され、究極的に法人税がゼロになったとすれば、企業は税金逃れのためにどこぞの小国(タックスヘイブン)にペーパーカンパニーを作って法人所得をごまかす、といった必要もなくなるわけで、むしろ企業の多国籍化を防ぐ方向に働くとも言えます。また、法人の活動によって発生した利益を個人を通じて把握することができるので徴収漏れも防げます。一説には「年間10兆円超」の徴収漏れがあるのだとか。これを新たに徴収できるのであれば「消費増税なんかいらんかったんや!」となる可能性だって大いにあり得ますよね。

したがって、法人税の引き下げに異論を差し挟むとしたら「個人ベースの課税を徹底できているのか?」という観点はあり得ても、大企業優遇だから反対、もしくは、新自由主義的(嘲笑)だから反対、というのはあまり賢いやり方ではないでしょう。

個人の所得を把握するための「マイナンバー制度」はすでに法案が可決成立済みで、平成27年10月には各人にナンバーが通知され、翌年1月から運用が開始される予定になっています(詳しくはコチラ→内閣官房 社会保障・税番号制度 )。しかしながら、税や社会保障費の徴収を一括して行うための「歳入庁の設立」はまだ進んでいません。法人税の引き下げに積極的な現政権に意見を言うのであれば、「法人税減税反対!」ではなく、「歳入庁の設立を急げ!」が正しい態度と言えるのではないでしょうか。

また、現在の税制には「租税特別措置」という制度があり、法人税についても結構な割合の免税がなされているそうです。しかし、租税特別措置の恩恵に与る企業には偏りがあるため、むしろ租税特別措置をやめて公平性を高めた上で全体の法人税率を下げるべきだ、という意見もあります。

俗に大企業の代表と言われる経団連は、法人税率の引き下げには賛成する一方で、同時に検討されている租税特別措置の縮小には反対、もしくは消極的。「租税特別措置を縮小するくらいなら法人税率の引き下げはやらなくていい」とすら言う人もいるそうで、真に「大企業優遇、新自由主義的(呆れ)」なのは法人税減税か租税特別措置かどっちだ?というお話です。

参照:
租税特別措置をなくせば法人税率は25%に下げられる
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2010/12/post-263.php

本当に「大企業優遇反対」を言うのであれば、現状で大企業優遇になっている部分にも焦点を当てるべきでしょう。片や「法人税率の引き下げは大企業優遇だから反対!」と言っておきながら、現状で大企業が優遇されている租税特別措置にはダンマリ、というのではあまりにも『ツジツマ』が合わないと思います。租税特別措置の縮小を検討していることに触れると、現政権が大企業優遇、新自由主義的(棒)「ではない」ことがバレるのが都合悪いからその事に触れないのではないか?な~んて思いたくもなりますよね。

また、アベノミクス効果で経済が回復し成長軌道に戻るのであれば、仮に今現在赤字で法人税を納めていない企業もやがて税金を納められるようになるわけで、法人税率を引き下げればそのような企業への助けになるのは自明だと思うのですがねぇ。「赤字企業には恩恵がない」と言い張るウラには「それらの企業はどうせ黒字にならない≒日本経済は景気回復しない」という心理があるのではないか?と勘ぐりたくなります。



薬を毒、毒を薬と言い張る輩に騙されないようにするには「ラベル」の内容を鵜呑みにするのではなく、その「中身」を吟味することが大事。貼られたラベルがいつも正しい、ラベルを貼った人が善人である保証などどこにもないのですから。