人々が「フロー状態」または「ゾーンに入る」と言うとき、
彼らはしばしば「自己の不在」(無我状態)の体験をしていると言えます。
これは、ある活動に深く入り込み、その活動が自動的に、努力なく行われる感覚です。
このとき、時間の感覚が変わり、自己の思考(考え)が背景に退き、
行動と何か(宇宙!?)と一体となっていると思うのです。
たとえば、音楽家が曲を作る時、ダンサーが踊る時、アーティストが絵を描く時、
またビジネスマンが経営判断をする時など、彼らは自分が「いない」状態、
つまり自己の存在意識が消える瞬間に 最も優れたパフォーマンスを発揮します。
これは、心理学では「自己超越」とも呼ばれ、
個人の能力の限界を超えた結果をもたらすことが多々あるのです。
しかし、実はこの感覚は専門分野に限定されず、日常生活のあらゆる瞬間に応用可能なのです。
例えば、会話中や散歩中にも、自分の思考(考えや心配事)から離れ、
その瞬間に完全に一体としていることで、
「今 ここに生きる」ことで
より充実した体験が得られるのです。
一流の人々は その一流のことに従事しているとき
この状態を自然に経験することが多いですが、
一般の人々もトレーニングや瞑想的努力を通じて
この状態を得ることができます。
しかし、日常生活では我(自分や自分の考え)を前面に出すことが多く、
それが原因で失敗や不幸を経験することも少なくありません。
このように「自己の不在」とは、特定なスキルではなく、
私たちの家庭生活や仕事など
生活全般に有益な影響を与えるものであり
この体感を得ることは 人生を最大限に豊かにしてくれるものだと 思えてならないのです。
自分を超えた状態(自我の終焉、無我、 今ここの状態)で生活することを学ぶことは、
より豊かで満足のいく人生を送るための
これからの鍵となり得る大切なメソッドだと 私は 思うのでした。