1.久しぶりの朗読コンサート出演
通っているボイストレーニングスタジオ主催の朗読コンサートが5/9、5/10の
2日間にわたり開催された。2019年ぶりであり、私は今回が4回目の出演となる。

今回の題材は、松谷みよ子さん原作の「龍の子太郎」である。原作そのままでは

なく、90分くらいの分量に編集された台本での朗読であった。
出演者は先生方含め19名で、ギターでの音楽や効果音も入る構成となっていた。

2.苦労した赤鬼の朗読
私は配役として主に赤鬼とナレーションを担当した。この赤鬼の朗読が難しく、
これまで出演した朗読の中で最も苦労した。

赤鬼は村の人々を苦しめる悪い鬼で、人間や動物たちに対しては強いが、黒鬼には

逆らえない。太鼓を叩くことが大好きで、どこか憎めないキャラであった。
龍の子太郎と戦って負けた後、空に投げ上げてもらい雷様になる。そして最後には、
龍の子太郎のピンチに駆けつける。
前半は人々を苦しめる悪い鬼、後半は龍の子太郎を助けるいい鬼で、物語の配役の中でもとても良い役であった。

赤鬼の朗読が難しかったのは、まずは悪い鬼を演じることであった。私は普段

あまり怒ったりしないし、むしろいい人と言われることが多い。
自分が普段使っていないものを使って演じなければならなかったためである。

さらに、私の朗読はメリハリがつかず平坦になってしまうことが以前からの課題で、
今回はこの克服も求められた。
自分の朗読を録音して聴くと、確かに平坦で一本調子なのである。
赤鬼のセリフには、独り言、動物に対して怒る、龍の子太郎とのやりとり、
動物たちを集める時の呼びかけなどがあるので、メリハリをつけるには、
セリフを言う対象を変えながら朗読する必要があった。

セルクルというそうだが、①独り言のように自分に向かって言う、②相手に言う、
③空間(客席)に向かって言う、これらを使い分けるのである。
これができると朗読にメリハリがつき、話が伝わりやすくなる。

赤鬼のキャラを演じることとセルクルが難しくて、苦労したのである。
アドバイスをもらい、役作りとしてチンピラが出てくる映画を見たり、
赤鬼に近いアニメキャラをイメージして朗読したりした。
こうして自主練もしたのだが、全体稽古と自主練だけでは上記課題の克服は

できなかった。

4月の中旬に個別で稽古をしてもらったことで、どうにか赤鬼として形になった。
個別稽古は90分くらい。自主練の積み重ねがあったので、この時間内で形に

できたのだとは思っている。

3.こうして迎えた本番
5/9と5/10それぞれ1回の公演だったので、本番は2回行われた。お客様は各回約50名。
神保町にあるブックカフェが会場であった。

初日は会場準備をして、本番のリハーサルをやった。その後に本番である。
リハーサルをやっているので初日は実質2回公演したことになる。

本番では、私は出番の最初の方は手足が震えていた。震えが収まらない中で朗読していた。でも、声はいつも通りに出ており、緊張した声にはなっておらず、

いつも通りに朗読できていたと思う。

震えてはいたものの緊張に負けてなかったのは、良かった。

本番は稽古と比べて、出演者全員の熱量が上がっていた。声がよく出ていて

気持ちがこもっており、勢いがあった。2日目は初日を上回る熱量だった。
今回は舞台袖がなく90分間休憩なしでの公演だったので、舞台上に出演者全員が
ずっといる状態だった。客席50名くらいの広さの会場だったこともあり、
出演者の朗読の熱量はお客様にも伝わっていたことだろう。
お客様からは感動したと言う声が多かった。

自分も客席で観たかったと思うくらい、良い公演だったと感じている。苦労した

赤鬼も良かったと言ってもらえて、頑張ったかいがあったと思った。

4.最後に
今回が一番苦労したが、赤鬼やセルクルに挑戦できてよかった。お客様にも

上達したと言っていただけた。

稽古の初めの頃と本番では、出演者全員がまるで別人のようだった。
12月の顔合わせから始まり、本番まで約5か月間の稽古において、

終盤に近づくにつれ皆んながどんどん変わっていったのである。
赤鬼に苦戦していたので、焦りを感じるくらいだった。

この5か月、皆んなと稽古して皆んなで1つの舞台を作り上げてきて、
朗読の難しさはあったもののとても楽しい時間であった。
朗読コンサートにまた参加したい、そう思っている。

準備編、稽古編と3回にわたって述べてきたが、
このシリーズは今回で最後にする。
最後は本番1週間前~本番について述べたいと思う。

1.本番1週間前
本番1か月前くらいから、体調管理には今まで以上に気を付けていた。
体調不良で本番に出演できないは論外として、風邪をひいて咳が出る、
喉がいたいなど、ちょっとでも声が出にくくなる状態で本番を迎えたく

なかったからである。

それと、声が出やすい身体にするために、本番1週間前にマッサージを受けに行った。
私は普段、月1くらいのペースでマッサージ(整体+もみほぐし)を受けに行っている。
いつも担当してくださっている先生に、朗読コンサートに出演するので
声が出やすくなるように身体をほぐしてほしいと相談し、
いつものマッサージに加えてストレッチもしてもらった。

仕事や毎週末の稽古で溜まっていた疲れがとれ、身体もほぐれて
万全の状態で本番を迎えることができた。

2.本番前日
本番前日は、会場の準備とゲネプロが行われた。
ゲネプロは本番同様に行う最後のリハーサルで、本番の衣装で行う。
ちなみに、今回の衣装はベースカラーが白とベージュで、出演者全員が
大きめのスカーフをつけるというものであった。

今回の会場では、客席を100席ほどつくる。音響や照明の準備もある。

この準備も本番前日に行う。今回はこれらの舞台づくりをしてくれるスタッフや、

音響、照明担当のスタッフがおり、私たちキャストは会場準備はせずに、

14時からの集合であった。

その後、場当たりと呼ばれる稽古をした。
場当たりは、キャストの立ち位置や、音響や照明の確認と調整などを行う稽古で
主に音響や照明のきっかけの確認の稽古である。

場当たりが終わった後、ゲネプロが行われた。
ゲネプロの出来は、今までの稽古の中で一番良かったと思った。
朗読していて自分の出来もいいと感じていたし、出番でない時に
舞台袖から観ていても、朗読劇全体がとてもよかったのである。
本番でこれができれば、きっと上手くいくと思った。
本番が成功することを信じられた瞬間であった。

3.本番当日(本番前)
会場のすぐ近くに神社があったので、本番当日にお参りに行き、
朗読コンサートが成功することをお祈りした。

それと、過去に出演したときも行ったのだが、本番当日は音楽を聴いて気持ちを
高めることをしている。
決まって聴く曲があり、それが、
シンガーソングライター  宮崎奈穂子さんの「ななつの星に願いを込めて」である。
この曲は北海道米の生産者の応援ソングなのだが、朗読コンサート成功を目指す
私たちに置き換えて聴いてもしっくりくるので、頑張ろうという気持ちになれるのである。

4.本番
開演の30分前に開場であり、開場してすぐにお客様がどんどん入って
きているようであった。
この時、私は舞台袖にスタンバイしていた。本番直前のこの頃になると
緊張が高まってくるのだが、今回は過去2回に比べて緊張していなかった。
「過去2回はもっと緊張していたはずなのに、変だな」と思っていた。

3回目の出演で舞台に出ることになれたのかもしれないが、それよりも
無自覚ではあったが今回は自信があったのかもしれない。
練習量は、今回が一番多かった。全体稽古も多かったし、自主練も今までで一番した。
前回出演した時の自分ではできなかったであろう朗読での表現が、
できるようになっていた。
きっと、練習量と表現力が自信につながっていたのだろう。

とはいえ、舞台に上がってすぐは緊張しており、精霊の守り人の前に行う詩の朗読では

緊張した声になっていた。
そして、精霊の守り人に入ったが、ここではいい緊張感で臨めた。
特にミスすることもなく、声もよく出ていたし、稽古してきたことを
十分に出せたのではないかと思っている。

休憩中や自分の出番でないときに物語から離れてはいけないと、稽古中に言われていた。
物語から離れてしまうと、出番が来たときに急に物語の世界に自分を戻そうと思っても
難しいからである。
物語から離れてしまうと、それが朗読にも現れてしまうとのことであった。

今回の演目は2時間と長く、途中で10分間の休憩がある。会場には楽屋があったので、
出番がないときには楽屋で待機することもできる。
ただ、楽屋に戻ったら自分はきっと物語から離れてしまうと思っていたので、
私はずっと舞台袖で待機していた。舞台上を観たり、台本を追ったりしながら
物語の世界から離れないようにしていた。

そして、昼の部と夜の部の公演を無事に終えることができた。

5.本番を終えて
今回が一番練習した。ヨナ・ロ・ガイの声を作ったり、ナレーションの読み方を
考えるなどの試行錯誤を繰り返した。
でも、正解が分からずにこれでいいんだろうかとの迷いを抱えていたのも
今回が一番だった。

それでも公演を終えてみると、観に来てくれたお客様から褒めていただけた。
ヨナ・ロ・ガイの声が新鮮だった、初めて出演した時と全然違う、よく声が出てた、
朗読が上手くなったなど、嬉しい言葉をたくさんいただけた。

前回出演時も褒めてもらえた。その時はHAPPYな嬉しさだったのだが、
今回はそれだけではなかった。
試行錯誤してきたことが間違ってなかったんだとわかり、頑張って稽古してきたことが
認められたようで、報われた感じがあった。
正直、泣きそうなくらいだった。

今回の演目は大作だったので、稽古はその分大変だったし、試行錯誤も繰り返した。
でも、大作をみんなで作り上げたからこそ、自分で試行錯誤したからこそ、
その分、やりがいも達成感もあったのだと思う。
素敵な仲間と4か月もの間、一緒に朗読できてよかったし、楽しかった。
本番が終わった今、しばらくは朗読ロスが続きそうである。

前回は主に全体での稽古について述べた。
今回は私個人のことを中心に述べたいと思う。

1.ナレーションの朗読
ナレーションで指導を受けた中で多かったのは、以下であった。
①テンポがずっと同じで一本調子
②泣き節(悲しく聞こえる読み方)になっている
③シーンに合った声でない

①は、文章の中で、ここは速めに読む、ここはゆっくりなど構成を考えて、
読む時間全体は変えずにメリハリをつけることをアドバイスされた。
そこで、構成を考えながら自主練し、それを録音して聞いてみた。
自分ではメリハリをつけているつもりでも、録音を聞くと一本調子になっている。

稽古では、もっと語りかけるように読むこともアドバイスされた。
メリハリをつけ語りかけるように読む練習を繰り返し、
一本調子さは次第に改善されてきたと思っている。

②の泣き節は、前回出演時から言われていることである。
普段の会話でも泣き節になっているようで、声の出し方として
私にしみついてしまっているものであり、なかなか直せずにいた。
油断すると泣き節になってしまうため、そうならないよう意識していた。

自主練でも明らかに泣き節になってしまった時は、分かるようになった。
泣き節になりやすい箇所も分かった。
自分でも分かるようになると、意識して直すことができる。
ただ、自分では分からない場合も多く、全体稽古で指摘されないと

直せない部分もあった。

③は、クライマックスの戦いが終わり、穏やかなゆったりしたシーンの
ナレーションを担当したのだが、声の出し方が強く、まだ戦いが続いているように
聞こえる朗読となっていた。
今回私が担当した箇所は、戦いのシーン以外は穏やかなシーンが多く、
やさしく、ふわりとした朗読をすることが求められた。

やわらかい声で朗読するには、お腹を柔軟に使うことが必要とのことだったが、
私にはできなかった。
ボイトレを続けていればできたのかもしれないが、この時は
どうすれば柔軟に使えるのか分からなかったのである。
やわらかい声を出せるようになることは、今後の課題である。

2.配役の朗読
私は、ヨナ・ロ・ガイという水の民を演じることとなった。
稽古で、ナレーションとヨナ・ロ・ガイの声が同じで区別がないと指摘された。
そこで、区別がつくようにヨナ・ロ・ガイを変えることにした。
ところが、ヨナ・ロ・ガイがどのような声なのかは原作に書かれておらず、
NHKのドラマでもはっきりしないため、自分で声を考えて作るしかなかった。

水の精霊なので、きれいな澄んだ声で、高めの声で、エコーがかかったように
聞こえる声をイメージした。
が、このような声を出すことはできなかった。
そこで、高めの声で、全体に広がるように声を出すことにした。
歌うように節をつけることで、エコーではないが揺らぎのある声を作ろうとした。
こうすると、自然と話し方がゆっくりになり、節をつけたからか泣き節ぎみになった。

稽古の時に方向性は悪くないと言われ、ヨナ・ロ・ガイの声のベースは
これでいこうと思った。
ヨナ・ロ・ガイは水の中から地上に向かって話しかけるので、上に向かって話すように
声を出すことも求められた。

しばらくは上記の声をベースとしてヨナ・ロ・ガイを演じていたのだが、稽古の後半に、

「今の読み方だと、ヨナ・ロ・ガイがこの世のものではない感じはあるが、
その独特の話し方だけが印象に残って話が伝わってこない」との指導を受けた。
ヨナ・ロ・ガイが出るシーンでは、ラルンガ、ナユグ、ニュンガ・ロ・イムなどの
聞きなれない単語が多く出てくる。そのうえ、ラルンガの正体が分かるシーンでもある。
このシーンで話が伝わらないのは、よくないことであった。

ただ、節をつけ揺らいだ話し方をすることで、ヨナ・ロ・ガイの声を作っていたため、
これをやめて伝わりやすい話し方にすると、ヨナ・ロ・ガイが普通の人に近くなってしまう。
ヨナ・ロ・ガイ感を残しつつ話が伝わるように朗読する、このバランスをどうとっていいのか
分からずに、苦労した。
稽古で何度もアドバイスをいただきながら、最終的に次のようにした。

高めの声を全体に広がるように出しゆっくり目に話す、これをベースの声とした。
節をつけるのは最低限にとどめ、キーワードや大事な箇所は滑らかに普通の速度で

話そうとした。

本番1週間前の最後の稽古までどうするか悩み、不安はあるがもうこれでいくしかないと
腹を括って本番に臨んだ。
苦労したかいがあってか、本番後にお客様からヨナ・ロ・ガイの声がよかったと
褒めていただけた。

3.先生方からの返し
朗読の稽古では、先生方からのご指導・朗読への返しがある。
ここはもっとこう朗読した方がいいとか、あそこがよくなかったなどのダメ出しがあり、
中には厳しい指摘の時もある。
ただ、ダメ出しばかりではなく、できるようになったことや、良かったことも
言っていただけるのである。
自分の朗読の仕方や練習の仕方が間違っていないことが分かるし、
認められることは嬉しい。
だからきっと、みんな先生方の指摘をすんなりと受け入れられるのだろう。

そもそも、先生方も出演者もこのボイトレスタジオの人たちは、
みんな気がいいと思う。
いい人たちが集まっているから稽古には和やかさや楽しさもあって、
このような人たちと一緒に朗読コンサートをやり遂げられたことは、
嬉しいことであった。

3回にわたって書いてきたこのシリーズも次回で最後、

最後は本番編について述べて終わりたいと思う。