高橋留美子って日常を描かせたら天下一品だと思います。
彼女が描くマンガは設定がSFだとしても内容は日常物語ですね。と言うより日常にSFを導入してる感じかな。
そんな日常の名作、『めぞん一刻』。SF要素のない完全なる日常作品です。男女ともに楽しめる80年代を代表するラブコメディーですが、その人気は根強く、最近でもドラマ化されたりもしてますね。
アパートに下宿してる浪人生が管理人である未亡人に恋する物語。ライバルやら同じアパートの住人やら友人やら犬やらおばあちゃんやらが高橋留美子独特の小技で色々味付けされています。読み終わってみれば、笑いと悲哀と涙に染まって心地よい感情に包まれるはずです。

この高橋留美子の小技ってのがスゴいんです。ライバルである三鷹さん、彼は資産家の御曹司かつ爽やかなテニスコーチ。要はおしゃれなカネモチのイロオトコ。そんな彼の冷蔵庫をみた五代くんのお婆ちゃんの一言、「味噌はねえのけ?」この言葉、なかなか出ないです。

時代は80年代なので、携帯もパソコンもないし、電話も黒電話。今で言うソープランドもトルコ風呂と呼ばれてたります。また、今どき下宿の浪人生なんて全く見かけませんが、そんな時代の壁をクリアできれば問題なく感情移入できるでしょう。30才以上なら大丈夫なはずです。
時代は違えど最近の状況と似ているところもありますね。この主人公の五代くん、今話題になっている「内定取り消し」という目に合ってるんです。理由は入社前に会社が倒産したから。そして彼は結局保育士になります。こんな流動的な人生も今となっては不思議じゃありませんが、当時の設定としてはナカナカかけないですよ。

最後に。このマンガ、脇役がすっごいチカラもってます。高橋留美子のマンガってそんな傾向ありますよね。この物語も一刻館の住人も五代くんのお婆ちゃんも良いですが、私が好きなのは五代くんがバイトしているキャバレーの店長。彼女や奥さんのことを「スケ」と呼ぶのがたまらなくって、でも意外と人情家なんです。
そんな心地よいマンガ、『めぞん一刻』でした。
今じゃすっかり人気マンガ家になってしましました福本サン。最初は麻雀マンガ家だったんですよね。
あまりににも画がヘタなために一般マンガでは通用しないとか言われたらしいですが、視点の面白さと、その視点に違わぬ中身の濃さでスター漫画家にのし上がりました。
さて、その福山さんのマンガでオススメなのがこの『銀と金』。
物語としては中途半端な未完状態で、私がこだわる“終わり方”に不満はありますが、福山さんの作品の中でも非常に人間の欲や汚さなどが描かれていて面白いです。『カイジ』よりもちょいとブラックでオトナ向け。『ゴルゴ13』や『ナニワ金融道』と並んで置いてあるとしっくりきますね。
株屋、絵画商、殺人犯、政治家などと立ち回る裏世界のフィクサー物語とでも言いましょうかね。決してヤクザ物語じゃありません。

福山さんの世界で面白いのは、非現実的な世界なのに、そこにある感情が妙にリアルなことですね。『カイジ』でも鉄骨を渡っているときに、泣いたり謝りながら背中を押すシーンがありますが、あれは常人には描けません。あんな状況でどんな感情を持つかなんて考えたこともないですね。
『銀と金』ではそんな非現実的な世界での妙なリアルさってモノが各所にふんだんに描かれています。
中でも、森田と勝負する絵画商、中条の描き方が絶妙です。最初の社交的な笑顔、カネの臭いをかぎとった笑顔、敗れて狂気を帯びた笑顔。いやいや、画がヘタなんて誰が言ったんですかね。確かに客観的にはヘタかもしれませんが、単なる“笑い”ってモノに対して心理をきちんと理解しつつ表現していくマンガ家ってナカナカいないのでは?・・・たしか『ガラスの仮面』の中でも似たようなこといってましたね。“笑い”って感情を題目に研究生たちがレッスンするシーン・・・
惜しむらくは中途半端な終わり方。色んな事情があるとは思いますが描ききって欲しかったです。とはいえ『カイジ』が好きなら必読です。未読の方は絶対読むように!

さて、映画にもなり賞ももらっているみたいですね、『20世紀少年』。名作と言われてます。好きな人も数多い、浦沢直樹の傑作です。


う~ん・・・私は浦沢直樹のマンガって『パイナップルARMY』『MASTERキートン』以外はあまり好きじゃないんです。
まぁ、人の好みって様々なので仕方ないですよね。たぶん私は少数派なんだと思います。。。
なぜあまり好きじゃないかというと、物語の始まり方・進み方はものすごく面白くて、『20世紀少年』も最初グイグイ引き込まれました。周囲にも「あれは面白い」って勧めてたくらいです。でも、最後の終わり方とか終盤に入ってくるとどうもスッキリしないんですよ。『MONSTER』もそんな感じでしたね。
始まりと終わりのギャップが大きくて、なんとなく消化不良で終わってしまう、そんな風に思っている読者もいるのではないでしょうか?カンナももっと重要な活躍するのかと思ってたら・・・って感じなんですよね。
でも評判がよいのも事実です。良い理由をいろんな人が語ってます。「“ともだち”の正体が○○だったのは、こんなメッセージを含んでいるからだ」なんて絶賛している人もいます。だから読んだことない人は一読してもらう価値はあるマンガでしょう。ストーリーとしては非常に楽しいし、絶対にハナっから引き込まれるはずです。序盤だけで言えば、SFの最高傑作かもしれません。『AKIRA』にも匹敵するくらいのスタートダッシュです。
そして、最後まで読みきってください。最後にどのような感想を持つのか・・・私に共感する人もいるはずです。