初めは『デビルマン』の偽物かと思いました。人間とモンスターが融合して苦悩する物語でしょ?なんてね。でも、違いましたね。ひとつのしっかりした名作です。
さて、何度読み返しても「パラサイトがなぜ生まれてきたのか」は分かりません。田村玲子や広川あたりが語ってますが、結論はないんですよね。何となくそうかな~って説得力はあるんだけど、はっきりと解明されてません。
また、解決もしてないんですよ。だって全滅させた訳じゃないし、これからもパラサイトはあちこちで生き続けるんですから。と言うことは、パラサイト問題については未完なんですね。
この寄生獸に関しては、そこが名作の所以なんだと思います。
作者はパラサイト問題を解決させようとか、解明しようとか、ましてや人類vsパラサイトの戦いなんて描きたかった訳じゃないですよね。
常識外れの存在ではあるけど、パラサイトをあるものとして認知し、そんな常識外れの存在を描くことで普通の人間を浮き立たせ、人間ってモノを描いてるんだと思います。
広川の演説とか、田村の問いかけとか壮大なテーマを語りかけてますが、そんな壮大な言葉とは裏腹に、泉新一が後藤にトドメを刺すときの言葉。
「オレはちっぽけな…一匹の人間だ」
「せいぜい小さな家族を守る程度の…」
この言葉、人間の本音でしょ?言葉だけ聞くと、弱々しい言葉ですが、一番しっくりくるんですよね。
泉新一がミギーが混ざり合って強くなっていく過程で、もしかしたらパラサイトとの対決物語になっちゃうのかな・・なんて思いました。そんな展開は十分に有り得ることですね。その方が派手だし、解りやすいですからね。上手く書けば『ゴッドサイダー』やら『ジョジョ』やらと同じような感じに持っていけますもんね。
でも、そんな安易な物語になってしまうこともなく、物語を壮大に広げすぎず、小さな存在の人間の本音を描いた作品です。『デビルマン』は人類の弱さ、『寄生獣』は人間の弱さ、ってところでしょうか。
そんな弱さを本音で描いたマンガですね。