秀でる路線

レールとレールに錆び付く不安
三枚羽は黒褐色に馴染まれた
残り一枚によせる意気地
傲られ煽られた中に四つん這い
萎びた花びらを抱き締めて
交互に支柱と庇いあった

鈍行汽車に乗車すれば凹凸
ゆるやかなカーブをガタン
ブレーキの茶錆びでゴトン
方向きやすい精神路線
藁をもつかみたい真っ直ぐさ
腹黒い砂糖水にかぶり付き
飲み干されるまで固形物
太い一本の起動は野原を通過
俯瞰する優しすぎた花弁

秀でる線路から決別 
花束を一路へ贈ろう
真っ当な花盛り蝶よ羽よ
一人では遠い駅に二輪草
















 小春凪ぎ

クレパス7色を駆使して照射
園児ぐらいになったかな
春蝶々はサナギに情緒不安定
画仙紙に夫婦岩を描写
絵心はサナギから青汁を書写
名前2文字に執着してこそ
薮椿一輪 メシベに接吻
薮椿色 甘味な非現実より生色を我が手に点描
愛撫さながら反芻する15日
その半分の眼差しでよかった

15回目の春 鶯の鳴き声よ 独奏する我に戯れて
やっと辿り着いた小春凪ぎ
万年筆でしたためる妙味
油絵モナリザより確かな情愛







 


 












 



















空き家に紡ぐ

蔦に蔓延られた空き家
郵便配達 宅配便も行き過ぎ
すうっと古びた光景に紡がれる

黒ずんだ箪笥に古びた着物 
赤子をあやす人は手拭いにモンペ姿 
凍える夕暮れに立ち向かった
両手を合わせ悲境であろうと
家人は去り際に数えた唄

感傷にしたり観賞している他人
蔦を切り裂いてどうにか
内部に混沌する事象を嗅ぎたい
古びた暖簾はすきま風に揺らぐセピア色

空き家は薄暮にゆらゆら
唱歌にゆらゆら茅葺き屋根
幼少時代は走馬灯でゆらゆら
懐旧を紡いでほつれていく