明代花鳥絵 その二 (沈周と没骨画法) | 福縁譚

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没骨画法(輪郭を描かずに、墨や色で描く方法、西洋の水彩画に近似)

元の時代に没骨画法の出現は、画院派に対して一種反骨的なイメージがあります。特に雰囲気作りや、また院画より実景に近いため、明の時代の文人絵に多く見られ、もはや中国画上ではなくではならない重要な技法になっていく。
 
私的な見解の一つは、画院工筆画の深い色線で輪郭描きことにより、
描く対象が鮮明になったけれども、背景との一体感が失われる。装飾画の雰囲気が強いだが、没骨画法の本質は目で見た”色”を描いているから、水彩や油絵など西洋画技本と同一性がある。

今回の紹介は 明の巨匠 沈周の作品「琵琶図」です。
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構図は古典的画院風格を継承している、留白の部分は元の時代で開始した題詩と組み合わせた文人風格で、全画の対象が没骨画法により描かれたため、宋元院体画と完全に違った雰囲気の絵ができた。
イメージ 2
 

没骨画法の大家として、沈周の琵琶図は後代によく臨模される没骨画法の手本のような存在です。
 
この絵柄をもし宋院画風で描くなら、精緻で秀逸な画風になると思いますが、沈周の筆の下では、軽やかな南国風情が感じられます。
 
この絵から技法と描く対象の組み合わせの良さはよい雰囲気が出ることの条件であることはよくわかる。
 
(続き)

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