箱にSPユニットを取付けますが、JBLの8インチは取付穴位置が共通です。
(工業製品として、あるべき姿と思います。流石にアメリカ!)
なので、116Aと全く同じように取付できます。(最近のものは? 不明です)
075の取付(穴径80mm:075系は全て同じ!)には少し工夫が必要です。
箱の穴径が90mmなので、5mm厚の硬いスポンジを断面に貼りました。
これで穴径が80mmと075にピッタリになり、馬蹄形金具で取付けました。
帯域分割回路との接続はOFCスターカッド線を使いました。(カナレ4S6G等)
吸音材は元のグラスウールに加え、樹脂系を多量に入れています。
(コーン紙の背面から出る音をなるべく吸収するためです。)
まずは、L16のポートそのままでバスレフとして聴いてみました。
共振周波数附近の成分がブンブン響き、又、尾を引く感じで不自然です。
【ポートは径が小さく長い、(左はD208、右は2110で、見分けがつかない)】
そこで、密閉化してみると、低音の量感は減りますが、自然な響きです。
【バスレフポートに粗毛フェルトを詰めて密閉化】
バスレフと密閉のインピーダンス特性を実測で比較してみました。
ポートの共振周波数は36Hzで、22Hzのピークは空振りする周波数です。
共振周波数では、共振器が負荷となる為、振動板の振幅は減少します。
密閉でのf0は86Hzと少し高めですが、Q0は約0.5とイイ感じです。
【バスレフと密閉のインピーダンス特性】
バスレフの等価回路を考えてみました。(機械系は無視し、電気的限定)
ネット上の解説例では、ポート駆動が逆相という例が見られませんでした。
実動作では、ポートへの入力はコーン紙の裏側からなので逆相となります。
SPユニットの出力は、良く知られているように、2次のハイパス・フィルタです。
ポート出力はコーン紙背面から直流域では素通しでローパス・フィルタです。
これを実機の周波数に合わせてシミュレーションしてみました。
合成出力では共振周波数辺りで効果が見られます。
バスレフの最大の問題は、共振周波数附近の群遅延の増加と思います。
(音が遅れると共に、共振により音がスパッと切れず、尾を引くのが問題)
この例では、何と!50Hzの一波分もの遅延が発生します。
昔、設計の複数の友人(オーディオ好きで楽器も演奏)が言ってました。
「バスレフは音が遅れるから受け入れられない、密閉が良い。」と・・・
【バスレフの等価回路】
密閉型の等価回路では、2次のハイパス・フィルタのみです。
ここでも、f0でのQが高いと悪影響を受けますが、今回は問題ありません。
【密閉型の等価回路】
密閉での使用としたので、低域が低下し、その補正が必要です。
適用した低域ブーストについては、その4で説明したいと思います。
昔は平気だったバスレフの音が受け入れられなくなりました! 残念・・・