No.21の小型プリアンプは、実は気になる点がありました。 

電源ON,OFF時のポップ音対策でリードリレーを使った事です。 

このリードリレーは、偶々入手したもので、「折角だから使ってみよう」で使いました。 

で、使ってみて思ったのは、「意外と電気食うんだなぁ」でした。 

これの励磁コイルの消費電力が、約360mWもありました。 

信号系の消費電力が、約600mWなので、それとの対比で気になりました。 

 

又、信号系に直列に磁性体の接点が入るのも、なんとなくスッキリしません。 

自分で使っておいて勝手なものですが、即変更する事にしました。 

 

リードリレーに替えて使ったのは、MOSFETです。 

手元に大昔の日立製2SK416というのが沢山あったので、これを使いました。 

ゲートのカットオフ電圧が4Vmaxですが、動作中12V掛かるので問題ありません。 

このタイプのMOSFETは内部にダイオードが存在するので、1個では使えません。 

そこで、逆向きに2個直列にして使用します。(合計でON抵抗は1Ω程度です) 

又、電源ON時は、導通させるのに遅延を持たせます。 

 

2SK416だけでは、電源ON時に少しポップ音が出るので、出力端で対策しました。 

接合型FETの東芝製2SJ103GRを使い、ゲートにダイオードを入れて利用しました。 

 

これで、ポップ音対策もOKで、消費電力も削減し、磁性体接点も追放出来ました。 

 

【変更後の回路図】

 

【変更後の基板周辺】

 

音質は、やはり大変良好と思います。 

(磁性体接点を通らなくなったので、透明感が増したような気もしますが・・・) 

 

【実測性能】 

■出力1Vに対する入力は0.8V 

■F特は20Hz~20kHzで±0.3dB以内(音量調整-16dB時) 

■残留ノイズは0.1mV以下(バス・ブースト最大時) 

■出力1V時の1kHz歪率は0.001%以下 

■バス・ブーストの上昇開始周波数(+3dB点)は最大時に205Hz 

■消費電力は僅か1.6W 

 

歪率が0.003%以下⇒0.001%以下となったのは、このアンプの歪変化ではありません。 

信号源のDACを、より低歪のものに交換したからなのです。 

(この低歪の方が高音質か? というと、そうでもないのがオーディオの面白さです。)