音が良く、使い易く、音質劣化最小バス・ブースト付の小型プリアンプを造りました。
内容的には前作No.14と同様の考え方です。
筐体は、Technics SH-C02という製品で、幅295mmと小型です。
(No.19、小型パワーアンプの筐体がTechnics SE-C01で、そのシリーズ製品です。)
【元の前面の様子】
【元の内部の状態】
【設計の方針と内容】
1.電源トランスは流用し、電源回路は必要に応じて部品を変更・追加等します。
2.回路は、前作同様に極力「信号電流」が電源及びGNDに流れないようにします。
入力端子に接続される抵抗も、極力上げて1MΩです。
3.オペアンプは、入力側に与える制約が少ないFET入力型を使います。
今回は、TiのOPA1652をメインに、バス・ブースト可変部はJRCのTL072Bです。
4.バス・ブースト回路は、前作同様に低域以外の帯域に影響を与えない回路です。
5.音量調整は東京光音製のCP(コンダクティブ・プラスチック)型です。
バス・ブースト用は、ちょっと日和って一般的なΦ16mmのBカーブです。
6.ACアウトレットは電源スイッチ非連動でしたが、連動に変更しました。
7.音声信号が通過するコンデンサと抵抗は極力音質低下の少ないものにします。
入力から出力までの経路で入っているコンデンサは1個だけです。(全帯域側)
使用したのは日本ケミコンの音響用PPコン0.47μF/315Vです。(銅リード)
メタライズフィルム型ですが、緊密に巻いておりフィルムが振動し難い構造です。
抵抗は昔入手した進工業の角板型金属皮膜抵抗器で、これも銅リードです。
8.電源ON-OFF時のノイズ防止には非常に信頼性の高いリードリレーを使いました。
又、電源ON時には少しポップ音が出ていたので、接合型FETを使いました。
【回路図】
回路自体は、OPアンプICのお陰で割と単純・簡単です。
【東京光音製のCP型可変抵抗器の改造】
軸の先端に穴を開け、延長用スペーサをネジ留めしています。
【内部の基板の様子】
作成した回路搭載
【背面端子等の様子】
【出来上がりの外観】
筐体の色は、深い青に塗り替えましたが、文字入れはしていません。
右端には6.3mmジャックの穴が3か所開いており、スモーク・アクリル板で塞いでます。
【バス・ブーストの特性】
ブースト量の加減で、低域が上がり始めるターン・オーバー周波数が変化します。
一般的なトーン回路と異なり、低域の量感を変化させるのではなく伸び感の変化です。
非常に良好な音質が得られていると思い、個人的には大満足です。
【実測性能】
■出力1Vに対する入力は0.8V
■F特は20Hz~20kHzで±0.3dB以内(音量調整-16dB時)
■残留ノイズは0.15mV以下(バス・ブースト最大時)
■出力1V時の1kHz歪率は0.003%以下
■バス・ブーストの上昇開始周波数(+3dB点)は最大時に205Hz
(最小から最大への変化時、上昇開始周波数が上昇する。)
*多様なスピーカの低域端の低下に対する補正にはより適している。
(一般的な回路では、上昇開始周波数は一定で、上昇量が変化する。)
■消費電力は僅か2W(元のSH-C02の銘板上では3Wなので、問題無し)