私の現用主力高域ユニットは JBL 075 です。 

 

高域側ユニットの前に、低域側ユニットについて触れておきたいと思います。 

自分の机(横180cm、奥行60cm)に置いて、スピーカから耳まで概ね1mで聴きます。 

自分で使うのは箱の大きさも考えなければならず、口径は大きくても25cmまでです。 

昔から大好きなJBLのLE10A、LE8T、D208、2110と使ってきて最後2115に辿り着きました。 

細かい音・余韻はD208系(2110含)と同等に最良、透明感(歪感の少なさ)で上回ります。 

 

ご存じのように、2115はLE8Tのプロ用(のような)ユニットですが、意外と違いがあります。 

振動系の等価質量が、LE8Tの16gに対して2115は11gと軽く、それに依る違いと思います。 

音圧レベルがLE8Tは89dB、2115は92dBと3dB高いのでアンプの出力は半分で済みます。 

振動系が軽い事で、細かい音や余韻の表現に優れ、更には音場感の拡がりが良好です。

 

こういう低域側に合わせる高域側も、同じ傾向の音を目指しました。 

 

以前、LE85や2420のドライバと小型ホーンの組合せを使っていました。(1.2kHzクロス) 

聴く距離が1m位なので、ホーン開口部の広さで定位が甘くなるという欠点がありました。 

又、ホーン鳴きもなかなか抑えられず余計な響きが邪魔をします。(デッドニングが難しい) 

音色に関しても、特に金気の楽器の音が「それらしく」響かない(鈍い)のも不満でした。 

解消する為に2405を追加して3ウェイにすると音色に関する不満は抑えられました。 

ですが、定位の甘さとホーン鳴きはどうしようもなく、この組合せは止める事にしました。 

 

低域の2115は元々フルレンジなので、多少クロスオーバー周波数を上げてもOKです。 

とはいえ、コーンの分割振動域まで使ってしまうと定位が甘くなり、透明感も落ちます。 

高域側ユニットを低い方まで使って辻褄を合わせる方向に方針を変える事にしました。 

出来るだけ3kHz以下のクロスオーバー周波数で使う条件で試しました。

 

試したツィータ(3kHz附近でクロス) *あくまで特定の組合せでの私の個人的意見です。 

 1.Yamaha JA-0506(これだけ4kHzクロス *ヤマハ指定) 

   刺激感が多少有り、透明感、音場拡がりが不足し、響きが若干濁るように感じる。

 2.JBL LE20-1 

   刺激感が多少有り、透明感、音場拡がりが不足するように感じる。 

   JA-0506よりも更に響きが濁るように感じる。(「元気」な音と感じるかもしれない)

 3.JBL 075 

   刺激感少なく、透明感高く、音場広く、奥行き感豊かで、非常に良い音に感じる。 

 4.JBL 2405 

   刺激感少なく、透明感高く、音場広く、奥行き感豊かで、良い音に感じる。 

   075と比較すると、中域が薄くなり、高域に偏る。(当たり前か?) 

 5.JBL 2402 

   刺激感少なく、透明感良く、音場広く、奥行き感良く、良い音に感じる。 

   075と比較すると、透明感・奥行き感共に少し減少したように感じる。 

   (元の所有者が分解した痕跡があり、本来の性能が出ていない可能性有り) 

 

手元に4台ある075の前後写真

 

この4台の実測周波数特性(周波数軸はリニアスケールです。) 

意外とバラツキが少なく、特に5kHz~15kHzの平坦性はなかなか優秀と思います。 

又、JBLが2.5kHzから使用可とされている通り、この辺りからちゃんと使えそうです。 

実は、低い周波数が入っても意外と変な音が出ないのも美点と思います。 

 

075の振動板の様子(入手時は、綿埃・塵等が沢山附着していたので、清掃しました。)

50年前後経過しているにも関わらず、アルミ製のリング状振動板は大変綺麗です。 

V字状の底の部分にボイスコイル駆動点があります。 

「この部分が【エッジ】だ」という領域は存在しないようで、端の平面部分が該当しそうです。

 

実は075には大きな弱点が存在しているのです。 

それは「指向性」で、軸上から10°の範囲から外れると高域の音色が大きく変化します。

私の使い方では、075を耳の方向に向けて設置するので問題ありませんが・・・。 

部屋の広い領域に出来るだけ均一な音色を届ける用途には向きません。 

そういう目的には、やはり3ウェイ化して、高域に指向性の良い2405を使うべきでしょう。 

一人で、且つ、聴取位置を移動せずに聴く分には075は最適と思います。 

 

断面の写真で、主要部分の構造が良く解ると思います。 

高い精度で造られ、贅沢に良質な材料を使った、非常に上質な製品と思います。 

とても旧い製品でありながら、現在でも高く評価されていると思います。

 

 

[おまけ] 

先に2405使用から075に入替で中域の厚さがグッと増し、前に出る感じに変わりました。 

これは、ユニットの方向性の違いから当たり前というか「まぁ、そうなるよね」でした。

シンバルがより金属らしい音になった。(Oscar Peterson 「We Get Requests」の再生で) 

ライブの拍手が本物感UP! 且つ前後の拡がりもUP! この辺で興奮しました。 

 

075の人気と価格が今だに高い理由が判ったような気がしました。 

 

前に出る感じが強かったので、075の前後位置を変えれば変わるのかを実験しました。 

075の前端がA702の前端より+15mm⇒-15mmで結構音像が後ろに下がりました。 

「SOMETHIN' ELSE」のaltoとtpがフワッと浮き上がったように聴こえます! 凄いぞ! 

音像が奥にいくと高域が下がったように聴こえて、2dB上げて良いバランスになりました。 

 

こんなだからオーディオは本当に面白い!!