昔(50年位前)、Foster BF-103Sという機種が有ったのですが、最近ヤフオクで入手しました。

  (Fosterというのは、Fostexの前のブランド名) 

10cmフルレンジの密閉箱仕様で、実は新入社員当時、会社の寮で使っていたのでした。

  (他のスピーカへと変わっていったのですが、好印象はず~っと残っていました。) 

入手したのは最大入力が8Wの初期のものです。(FE-103相当のユニット使用) 

鳴らしてみると、低域は出ませんが素性の良い音で「やはり良いなぁ」と思いました。 

裏板を外すと、アルニコ磁石の10F3でした。(フェライトの10T3じゃなくてラッキーでした。)

 

個人的にアルニコ好きなので、これを使えるようにしよう! と決めました。

  (フェライトに疑問を持つようになったのは、DAT開発中の事でしたが、又、別の話。) 

 

10F3の片方【A】はエッジがカチカチ、もう片方【B】はエッジが全周剝れておりました。

この状態で単体のf0とQ0は、【A】fo:300Hz、Q0:1.36 【B】f0:124Hz、Q0:0.55 でした。 

【A】はf0が異常に高くなっており、これでは低域が全く出ませんし、Q0も高過ぎます。 

【A】はエッジのダンプ材が絶望的に硬化していたので、軟化剤を塗布する事にしました。 

【B】はクロス・エッジ自体は柔らかだったのですが、剝れており木工ボンドで接着します。

 

【A】のエッジに軟化剤を塗り終え、【B】のエッジを貼り直した状態。

この状態で単体のf0とQ0は、【A】fo:110Hz、Q0:0.5 【B】f0:112Hz、Q0:0.51 と良化。 

 

【A】のダンプ材が軟化したので、余計な分を取り除く為にエタノールで繰り返しふき取り。 

もう一度軟化剤を塗布し、【B】のエッジにも軟化剤を塗布し、f0とQ0の低下を図りました。

 

これで単体のf0とQ0は、【A】fo:84Hz、Q0:0.4 【B】f0:78Hz、Q0:0.38 と更に改善。 

f0とQ0に関しては、ほぼ元の性能を取り戻しているのではないかと思います。

  (【A】は、コーン紙に軟化剤のシミが拡がっていますが、あまり影響は無さそう(願望)) 

*FE-103の公称値はfo:80Hz、Q0:0.3(又は0.35)なので、ほぼ同じと考えて良さそうです。

 

≪おまけ その1≫ 

振動系を重くするとf0とQ0がどの様に変化するのか、興味が有ったので試してみました。 

付加質量の材料には、粘着力のあるダイソーの「衝撃吸収パッド」を使いました。 

小さく切って、合計2.08gの材料をコーン紙に そっと乗せて測定しました。

結果、【A】fo:48Hz、Q0:0.71 【B】f0:47Hz、Q0:0.93 に変化しました。 

f0は低くなって良さそうですが、Q0が大きくなるので、使い勝手が悪くなります。 

又、重くした分、出力感度はガックリ低下し、音質も軽やかさが低下しそうです。

 

≪おまけ その2≫ 

Foster 70th Anniversary Model FE103A(¥70,000+消費税(ペア))との比較を試みます。

 

大きさは ほぼ同じ、重量も ほぼ同じ、f0も ほぼ同じ、Q0は少し10F3が小さい。 

磁石の大きさは、10F3が少し大きく、プレート厚も10F3が少し厚いですが、よく似てます。 

驚くのは、取付穴径の大きさが10F3(最初のFE-103)の頃から93mmで同じという事です。 

FE-103系の多分全ての機種を同じ箱で加工無しで使えるというは素晴らしい思想ですね。

 

10F3は口径の割に大きなアルニコ磁石(Φ30mm、L25mm)で、特にQ値が低いです。 

Q0が低いと小さな箱に入れられるので、箱の選択肢が拡がります。 

個人的には、箱入りの状態でQの値が「1」を超えないようにしたいと考えています。

  (Qが1を超えるという事は、考えようによっては【共振器】と捉える事も出来ます!) 

 

箱の選択と実装・測定は「その2」に続きます。