これから、オーディオに関する技術的な事柄に触れていきたいと思います。 

 

第一弾は、抵抗に関する意外な一面を紹介します。

 

【カーボン抵抗は歪みます。 】

これは発熱を要因として発生します。 

実験で測定して検証します。 

使用する抵抗は、タイヨームFTR33(1/3(W)型)のオーディオ用と、メーカー不明の1/8(W)型のカーボン型。 

比較するのは、進工業の角板型金属皮膜型。 

  左はタイヨーム  真ん中は1/8(W)の1kΩ並列  右は進工業

470Ω(1/8(W)は1kΩの並列で500Ω)と120Ωを直列に接続し、470Ωの発熱で発生する歪を低発熱の120Ω側で測定します。

  *タイヨーム同士の直列接続と、進工業同士の直列接続を比較(1/8(W)の120Ωは進工業) 

 

【結果】 

*やはり低域で定格電力辺りで使うと無視出来ない歪(3次を筆頭に奇数次)が発生します。 

*1/8(W)型は歪が多い。

*カーボン型での歪発生は、温度係数が非常に大きい為と考えられます。 

  (カーボン抵抗の温度係数: -200ppm/℃~-800ppm/℃程度の負の温度係数) 

*金属皮膜型は低歪(温度係数が小さいので、温度が変化しても抵抗値の変動が小さい) 

 

この現象は、40年位前に同じ職場の同僚が設計していたパワー・アンプ(実はオールFETなのでした)の実験中に「何故低域の歪が増えるんだろう? オープン・ゲインがDCで最大のDCアンプなのに」と気付いたのが発端でした。

ノイズの発生・飛び付きを防ぐ為に帰還回路の抵抗値を下げていたのが原因だったのです。

カーボンから金属皮膜に交換する事で解決した事より、「あぁ、カーボン抵抗って消費電力が増える領域では使えんな。」という結論に辿り着いたのでした。

 

という事で、カーボン抵抗を使う場合は、出来るだけ低電力とする必要があります。