離婚後の共同親権が可能となる改正民法が、2024年5月17日の参院本会議において賛成多数で可決・成立した。そして、77年ぶりに見直しがなされた改正法は、2年後の2026年までに施行されると言う。

現行の制度「単独親権」では、『離婚後は、父母どちらか一方を親権者にする』と規定されており、親権者は『子どもの利益のために、身の回りの世話や教育を行ったり、財産を管理したりする権利と義務を負う』としている。

それが今回の改正により、離婚時に父母が協議して「共同親権」か「単独親権」かを選び、協議で折り合えない場合には『家庭裁判所が判断する』とし、さらにDVや虐待の恐れがある場合は『家庭裁判所がどちらかの単独親権と定める』とのこと。

四半世紀前、離婚調停の不調により、家庭裁判所の判断を仰ぐこととなった私。調停不調となった理由は、夫と妻(父と母)のどちらが〝2人の子供(当時、幼稚園年長組の娘と年少組の息子)の親権を取るか〟だった。

調停の段階から、双方ともそれぞれ代理人である各弁護士の方に相談をしており、当時〝仕事の関係先である県内中小企業等協同組合へのパソコン通信の普及啓蒙〟の業務に就いていた私は、パソコン通信の法律フォーラムに参加して、離婚調停及び裁判における〝親権の行方〟に係る判例を徹底的に調べ、私の代理人である弁護士の方にその資料を渡して相談にのってもらっていた。

しかし、いくらフォーラムを検索しても、当時は『子供が幼い場合(例えば、小学校低学年以下の場合)は、その親権は特別な場合(例えば、経済的な困窮や不倫等)を除き妻(母)となる』との判例ばかりで、結局裁判では判例通り「妻(母)の単独親権」となった。

離婚調停から裁判までの2年間、娘と息子には一切会わせてもらえなかった私は、裁判において「娘・息子との面会」を懇願。
その結果、『娘・息子がそれぞれ20歳の成人を迎えるまでの養育費を滞ることなく負担すること』を条件に、裁判において「娘・息子との面会交流」を取り決めることができた。

その「面会交流」の内容は〜
*毎月第一日曜日の9時から20時まで。
*但し、1月(お正月)と8月(夏休み)は1泊2日とし、9時から翌日20時まで。
〜となり、毎月定額の養育費は、娘・息子と会う時に直接彼らに手渡すこととした。

さらに、定額の養育費以外にも、教育費として「塾の費用」や「大学進学時の入学金及び年間の学費」も私が負担したが、勤務先から〝退職金を担保とした借入金〟等により捻出した時もあった。

親権は〝子供が健全に育ってくれるよう、それ(親権)を与えられた側が負う義務〟であるけれど、その苦労は〝親権を与えられなかった側〟は到底わかることはできないだろう。
だからこそ〝親権を与えられなかった側〟には、当然のことながら〝養育する義務〟があると私は考える。

親が離婚したことで娘・息子には〝十分な教育を受ける機会〟を失ってほしくない、その一心で〝滞ることのない養育費等の負担〟を守り、貴重な「娘・息子との面会交流」の時間を得ることができた。そして、健やかに育ち〝大人〟となった娘・息子を見て、元妻には感謝している。

2026年の施行までわずか2年しかない。
今回の改正法、その付則には『施行5年後にさらなる見直しを検討する規定』も盛り込まれているとのことであるが、人間十人十色、多種多様な場面で対処できるよう、判例に捉われないケースバイケースでの運用方法を、早急にかつ綿密に構築していくことが必要と、四半世紀前に苦しんだ者としては考える。