年が明けた昭和20年の正月の朝、突然、父の祖父である11代目が工場にはいり、大鍋に火を入れはじめた。僅かに残っていた材料を、すべて蔵から出してきて、父と12代目に、和三盆糖をフルイにかけろと言い「関の戸」を作り始めたのだ。数時間、一言も話さない11代目の横で、父は久しぶりに「関の戸」が食べられると期待に胸を膨らませ、つまみ食いをしたい衝動を、必死に抑え手伝っていた。「工場いっぱいに、湯気が立ち込めた、あの日の光景は忘れられない」と、今も父は話してくれる。



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