あの鐘の音と共に-THE BELL-
とうとう全公演が終わってしまいました。

改めて、ご観劇くださった皆様、ご視聴くださった皆様、ありがとうございました!

今朝、本当に申し訳ないことに迎えにきてくださったマネージャーさんのインターホンで目覚めたにも関わらず、荷造りもちゃんとしたにも関わらず、やばい!本番!遅刻!と焦って新宿へ向かいそうでした。寝起きの頭で結構な時間混乱して、え!なんで今日?!えっ、あれ、何日?!あれ、もう終わったんだっけ?!あれ?!と漫画みたいにうろうろしました。うける。もう舞台を終えたということを完全に忘れていたというか、それほどまでにサントクレアに当たり前に暮らしていた2ヶ月間だったんだなあ。


1年半ぶりのミュージカル、いかがでしたでしょうか。前回とはまた層が全く違うカンパニーで、曲数も増え、ジャンルも増え、譜面を見たときは私にできるのか……?と不安になったりもしましたが、ものすごく、ものすごく楽しかったし、やっぱり私はお芝居が好きだなあと心の底から思う時間の連続でした。

振り返れば本当に怒涛の2ヶ月でした。
幕張の直後から始まり、周年もあり、公演もあり、最中はそんなに思ってなかったけれどスケジュールを見返すと今回ばかりは「よくやったな……」と褒めたくもなりました。(笑)

でもそれ以上に、稽古に出られずご迷惑をお掛けすることも多かった中でもいいものをとずっと向き合ってくださった一馬さんはじめACTMENT PARKの皆さんや、どちらもをちゃんと成功させられるように支えてくださった事務所の皆さんに本当に感謝です。


一馬さんと。
FBWLでお世話になり、たくさんのことを学ばせていただいた一馬さんに、またお世話になれることがとても嬉しかったです。
学んだことを無駄にしないように育ててきたつもりの1年半だったので、別人かと思った!と褒めていただけたのはとってもとっても嬉しかったです!稽古後の「今日のグレースのコーナー」という名のどうでしたか?会にも毎回真摯に答えてくださり、また大きく成長出来た気がします。また持ち帰って、次にお会いするときにもまた成長した姿で一緒に作品を作れるように、頑張ります!!!

さてここからは内容に触れながら書いていこうと思いますので、配信を買ってまだ見てないという方は是非見ていただいた後に読んでいただけたらと思います。

配信はクリスマスまで何度でも見ていただけます!

まだ間に合うよー!

 

 




グレースという女の子を演じたわけですが、なんだか今回はとても不思議でした。
悲しい運命を背負いながらも、誰かを励ましたり助けたりしながら存在し続けたグレース。
レナクとサラのお姉さんでありながらクロエの妹であり、エレノアの良き友人。台本を読んだ時の驚きを皆さんに届けるという役割もあり、最初はグレースって難しいなって思っていました。何が正解かわからないというか、グレース自身のことって、実はあんまりわからないんですよね。誰かに対してのグレースで、グレースは出来ていて。
でも、ある日突然「あ、これかも」ってなったんです。本当にスッと、何も無理することなく。その鍵になったのはクロエの存在でした。だって、グレースがサントクレアにいる理由はたったひとつ、クロエの悲願を見届けることだったから。その核を見つけてからは、その時々で出し方に違いはあれど、私の中のグレースはブレなかった気がします。




小山雲母ちゃんと花房里枝ちゃん。
この二人のクロエがいたから、私はグレースでいられたなと心から思います。感謝しかないです。
頑張っているお姉ちゃん きららクロエにはちょっと生意気に、責任感の強いりえちゃんクロエには無邪気に、そんな違いもありながら、私たちは日に日に姉妹になっていきました。
同郷のきららちゃんと、同業のりえちゃん。稽古場でも楽屋でも、二人が本当にお姉ちゃんみたいで、どんどん私も二人に甘えられるようになって、会うのが楽しみになって、本当に双子のお姉ちゃんがいる気持ちでずっと過ごしていました。
グレースは別に、仇を打ってほしかったわけではないと思うんです。でも、お姉ちゃんが私のためにそうしてくれるから、そのエネルギーがお姉ちゃんを生かすならと、応援したり手助けしたりしてるんですよね。
だからクロエが頑張っているシーンはいつも、袖のわずかな隙間からずっと見ていたし、お姉ちゃん頑張れとお姉ちゃんは頑張ってるよは2人に対しての本物の気持ちで、だからたぶん、グレースを演じようとしなくてもグレースになれたんだな、と思うのです。
これからのクロエはどうするんだろう。何を糧に生きていくんだろう。それだけが心配。ゴードンと幸せになってほしいなあ〜、妹としてはそれが安心するな〜〜。

そんな姉を持っているから、レナクとサラに対しては必然的にお姉ちゃんのようなグレースでした。



鳥羽瀬璃音花ちゃんと福田学人くん。このカンパニー最初の稽古は3人でのナンバーでした。いま思うと面白いくらいにお姉さんをしようとしている私と、ぎこちないふたりとで過ごしたあの日が遠い昔のようです。
ほとんど同じシーンだから、稽古場の一番寒い隅で
3人固まって過ごしていました。最初は大人な子たちだなと思ったけど、どんどんと中学生らしさを見せてくれるようになって、甘えてくれたり、生意気いってくれたり、大人気なくそれに言い返したり出来るようになって、可愛くて仕方がなくって、きっとグレースもそういう気持ちで2人のことを見ていて、これまた自然にどんどんと3人組になっていきました。りあなはすぐに抱きしめたくなるし、膝に乗せたくなるし、学人には無駄に絡んじゃうし、しょっちゅう喧嘩してました。(13歳相手に喧嘩するな)可愛くって仕方がなくて、最後の最後、2人がハイタッチする瞬間毎回崩れ落ちてました。これほんと。
2人が本当に歌もダンスもお芝居も上手で、世の中は広いな、すごいなと感動しました。これからもっと魅力的な俳優になっていくんだろうなと思うととっても楽しみですし、そうじゃない時の人生もいっぱいいっぱい楽しんで、素敵な大人になってまた会う約束をしました。ありがたいことにびっくりするほど懐いてくれた2人だったから、かっこいい存在でい続けられるように私も頑張り続けなければ。


そしてエレノア。
伊藤里紗ちゃんと桃菜さんとエレノアは本当に全然違って、AとBでここまで違うものになるのか!と驚きっぱなしでした。両者共にエネルギッシュなのに、放出の形が違って、そこを軸にそれぞれのサントクレアの街が出来上がっていきました。
そんなエレノアは歳の近い友人のような、でもグレースからしたら本当は8個くらい年下の、姉の境遇と重ねてついつい見守りたくなる子。

こんなにもいつも見守っているのに「友達もいない」と言ってしまうほど、絶望の崖っぷちにいるエレノアに、どうにか届けと願って言葉をぶつけていました。
愛に溢れた桃菜さん。



あるとき、桃菜さんの目に浮かぶ涙が照明を反射して本当に光のようだった時があって、こういうことかと思ったりしました。

りさちゃんはひとつ上という衝撃の事実。



魂を揺さぶる歌声。呼吸ひとつとってもかっこよくて、でも裏ではおもしろくて、優しくて大好き。


そして、もうわたしはずっと伊藤友惠さんの虜なんですが、ベラ。本当にかっこよかった。



お金とったほうがいいってくらいいい場所で毎日見せてもらっていて、マザークレアでベラ様!と叫びたい人生だった。エレノアに向ける慈愛に満ちた優しい視線が本当に素敵で、は〜〜〜すき!!!!ってなってました毎日。豊永が好きそ〜〜な女ですよね、ベラ。わかる。そんで私のこと好きな人も好きそ〜〜〜〜!わかる。ベラの過去話してる時、後ろのゆめさんの歌で毎回グッときていました。あと完全にThis is…のファン。
でも喋るとバチバチの関西弁と、ふわふわな空気にまじでびっくりする。かわいい。推す。シングルキャストなこともあって、どこか戦友というか、頑張りましょうね、、、!という気持ちでつながっていた気がするし、一緒のシーンはないんだけど、ゆめさんと話してるとすごく、嬉しい言葉ばかりくださって、お慕い申し上げます……となりました。
もしまた次があるなら一緒にお芝居したいです。

そして同じくシングルの大久保圭介さん。
ニール!!!!!!!!!!お前のせいで!!!!!!!!という役ですが、実は同じ99年生まれ。あの威圧感と体格、本当に1つしか変わらない……?となります。カンパニーの真ん中にいつもいた大久保さん。ジェームズが演説でいい人であればあるほどお姉ちゃんはできる女だったし、ジェームズが悪ければ悪いほど、お姉ちゃん頑張って!!!!!!!の気持ちになれました。演出の一馬さんに何度も話を聞いたり、丁寧に役を作り上げられてるのがとても印象的でした。でも中身はウインクとギャルピが標準装備でネイルが趣味の大久保さん。バグ。

ちなみに最初の写真は、いちばん2階に近いので圭介さんに撮ってもらいました。地面から撮ってこれなの本当にすごい。


チームシングルでの写真。


ゲネも合わせたら10公演!駆け抜けましたね〜〜〜

前回から唯一一緒だった河本優花ちゃんと、なんでもできる一条俊輝さん、男性陣の良心中嶋尚哉くん


公演数が倍というだけでなく、稽古も倍だったので、思い出いっぱいです。






一人一人のことを書きたいけれど、キリがないので心で思うことにします。皆さんの心にも、サントクレアの一人一人が生き続けますように。


撮ってることを気にせずに後ろにわらわら人がいる感じ、めちゃくちゃグレースだなあ。


最後のナンバー、8分以上あったんですが、最後の最後でみんなが歌い出したとき、それを背中に浴びた時、グレースがちらちらと街に溶けていくのを感じました。タイトルは大空へ。

グレースは幸せな人生だったと思います。寂しさも悲しさも悔しさも無念も山のようにあると思うけど、それ以上にたくさんの愛を知っているから。

エレノアに、サントクレアの街を、それから姉を、そして勝手だけど、エレノアの未来にグレースの続きを託して。


見えなくても、触れられなくても、確かに存在し続けるでしょう。私はそんなグレースでいられたこと、本当に幸せでした。


信じているものを、信じ続けた先には、

思いがけない世界が待っているはずだと信じて、

これからも信じる道をまっすぐに歩いていきたいと思います!


グレース・アネット役

豊永阿紀



またね!