保険会社の健全性指標 | 保険日記

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生命保険会社9社、損害保険会社1社の保険代理店経営者です。

リーマンショック後、米国大手保険会社の実質的な経営破たんなどの影響で、お客様のなかには保険会社の将来的な経営状況を不安視される方もいらっしゃいます。


●●保険は大丈夫ですか?と特定の保険会社について質問される方もいらっしゃいます。


この類の質問に対して、明確にお答えすることは不可能ですし誤解を招く可能性もあるため、なかなかお答えすることが難しいのですが、私が保険代理店という立場で保険会社の経営状況をみる場合に1つの参考にしている指標ということならば個人的という条件付で多少の助言をすることはできます。


保険会社の健全性を示す代表的な指標はソルベンシーマージン比率というものであり、また大手の格付け会社が付与するAAAなどの格付けです。


しかし私はこれらの指標はあまり見ません。分からないからです。ソルベンシーマージンの計算根拠を眺めてもピンときません。


だから各保険会社が公表している決算資料のなかの損益計算書の過去から現在までの推移をみています。


保険会社の損益計算書は概ね以下のようになっています。


A. 収入保険料(一般企業の売上高に相当)


B. 経常費用①(一般企業の売上原価に相当)

  ・保険金の支払額

  ・解約返戻金の支払額

  ・年金の支払額


C. 経常費用②(一般企業の販管費に相当)

  ・事業費等


D. 経常利益(A-B-C)


上記のA-Bは一般企業の売上総利益(粗利)に相当するといっていいでしょう。


私は、このなかで最も注目してみるのがA.収入保険料の過去から現在の推移です(※収入保険料の大小ではありません)。


保険契約は契約期間中は基本的に保険料が支払われ続けます。今年の収入保険料が100だったら来年も解約がなければ100です。来年も今年と同じ100の契約をすれば、今年の分と合わせて収入保険料は200になります。このように多少の解約があったとしても基本的には一般企業でいうところの売上高である収入保険料は増えていくことが自然です。

他の事業に比べて売上高が逓増していきやすい事業といえるでしょう。


しかし決算公告をみると収入保険料が下がり続けている保険会社もあります。

保険金の支払いや従業員の給与またはその他の事業費を捻出するための原資である収入保険料が下がり続けていくこと(純減)は、やはりお客様またはマーケット全体の評価が低下していると見受けられても仕方がないと考えています。収入保険料が伸び続けている保険会社もあるのですから。


5月末から6月初旬には3月決算の各保険会社の決算公告が公表され、ネットでだれでも見ることができます。


ソルベンシーマージンや格付けなどだけでなく、みなさまも馴染みの深い損益計算書や貸借対照表をみることで、保険会社の経営状況を今までとは違った観点で読み取ることができるかもしれません。



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