指定難病・低リン血症性くる病/骨軟化症治療薬「クリースビータ」の国内発売開始 | 好奇心の扉

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協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区大手町)は12月6日、指定難病のFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症治療薬のヒト型抗線維芽細胞増殖因子23(FGF23=Fibroblast Growth Factor 23)に対するIgG1モノクローナル抗体「クリースビータ®(一般名:ブロスマブ/KRN23)」を発売しました。
「クリースビータ®(Crysvita®)」は、協和キリン株式会社が創製した「低リン血症性くる病・骨軟化症」に対する初の抗体製剤となります。

本剤は、希少疾病用医薬品の指定を受け、2019年1月に承認申請され、2019年9月に国内医薬品製造販売承認を取得しました。


クリースビータ皮下注10mg
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症治療薬
ヒト型抗線維芽細胞増殖因子23モノクローナル抗体
「クリースビータ®(開発コード:KRN23)」
【Crysvita®/Burosumab】


FGF23(繊維芽細胞増殖因子23)関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、指定難病(No,238)の「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」、及び小児慢性特定疾患の「原発性低リン血症性くる病」と「ビタミンD抵抗性骨軟化症」に対応する疾患で、FGF23ホルモンの過剰産生作用による腎近位尿細管リン再吸収障害に起因する、『くる病・骨軟化症』の総称です。

標準とくる病
低リン血症性くる病

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、先天性のX染色体連鎖性低リン血症(XLH)、後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)、表皮母斑症候群(ENS)等が含まれます。

これらの疾患は、FGF23が過剰となることで、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となり、その結果として骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患です。

FGF23(Fibroblast growth factor 23)遺伝子は、第12番染色体の12p13.32にあって、251個のアミノ酸で構成され、リン酸の尿中排泄を促すホルモン(分泌蛋白質)を産生しています。


第12染色体FGF23


本疾患は、体内のリンが尿中に過剰に排泄され、血中リン濃度が低下し、骨の石灰化が障害される事で発症――血液中のリンの値が低いため、骨の石灰化異常が起き、骨の強度が不足し、その結果として骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患です。


X染色体PHEX

原因として考えられるX染色体連鎖性低リン血症性くる病(PHEX遺伝子異常)や、常染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(ADHR/FGF23遺伝子異常)などで、これら関連遺伝子の変異によるFGF23の過剰産生が報告されている。

PHEX遺伝子は、X染色体のp22.12にあって、X染色体連鎖性低リン血症(XLH)はこの遺伝子異常とFGF遺伝子の過剰作用が関連していると考えられています。

この疾患は、先天性のX染色体連鎖性低リン血症(XLH)、後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)、表皮母斑症候群(ENS)等が含まれます。


腫瘍性骨軟化症(TIO)
低リン血症性くる病・骨軟化症は、ビタミンDの欠乏により発生するくる病(ビタミンD欠乏症)とは別の病気であり、この疾患は、天然型ビタミンDにより完治しません。

またFGF23過剰産生は、腎尿細管に於けるリンの再吸収と、血中1,25-水酸化ビタミンD濃度の低下を介する腸管でのリン吸収の抑制もするため、血中リン濃度を更に低下させます。


〔*MSDマニュアル-プロフェッショナル版-19.小児科 低リン血症性くる病より〕
〔*公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター:ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症より〕
〔*国立研究開発法人 国立成育医療研究センター/小児慢性特定疾病情報センターより〕
〔*協和キリン株式会社2019年12月2日ニュースリリースより〕
〔*厚生労働省ファイル:06-政策情報-研究局/ビタミンD 抵抗性くる病/骨軟化症より〕




「クリースビータ®(CRYSVITA®)」は、FGF23(線維芽細胞増殖因子23)を標的とした完全ヒトIgG1モノクローナル抗体で、FGF23に対して直接的に作用し、腎臓に於けるリン排泄と活性型ビタミンD産生を抑制することで、過剰産生された血清リン濃度および活性型ビタミンD濃度を低下させる液性因子です。

本剤は、X染色体連鎖性低リン血症(XLH)及び後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)等の患者に於ける、FGF23の過剰な作用を阻害することで、腎臓に於けるリンの再吸収を促進し、同時に、腸管でのリンの吸収を促進するビタミンDの活性化を亢進させることで血清リン濃度を上昇させ、当該疾患に於ける、くる病あるいは骨軟化症の症状を改善することが明らかとなっています。

〔*協和キリン株式会社 ニュースリリース/Crysvita®(ブロスマブ)が成人・小児X染色体遺伝性低リン血症を適応症とした販売承認を米国で取得より〕
XLHとクリースビータ(Burosumab)の血清作用

本剤は、協和キリン株式会社とUltragenyx Pharmaceutical Inc.(http://www.ultragenyx.com/ ウルトラジェニクス・ファーマシューティカル社/本社:米国カリフォルニア州ノバート)との間で締結した協業、及びライセンス契約に基づき、協和キリン、協和キリンの子会社であるKyowa Kirin International PLC、及びUltragenyx Pharmaceutical Inc.の3社が、共同で「クリースビータ®(CRYSVITA®)」のグローバルな開発および販売に取り組んでいます。



【製品概要】
【製品名】:クリースビータ®(CRYSVITA®)皮下注10mg/ 同20mg/ 同30mg
【一般名】:ブロスマブ(Burosumab/遺伝子組換え)
【効能・効果】:FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
【用法・用量】
◆FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(腫瘍性骨軟化症を除く)
通常、成人には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として4週に1回1mg/kgを皮下投与する。但し、1回の投与量は90mgを超えないこと。血清リン濃度、症状等に応じて適宜減量する。
通常、小児には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として2週に1回0.8mg/kgを皮下投与する。血清リン濃度、症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kgとする。但し、1回投与量は90mgを超えないこと。
◆腫瘍性骨軟化症
通常、成人には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として4週に1回0.3mg/kgを皮下投与する。血清リン濃度、症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kgとする。

【製造販売承認取得日】:2019年9月20日
【薬価基準収載日】:2019年11月19日
【発売日】:2019年12月6日

【薬価】
クリースビータ皮下注10mg:30万4818円
クリースビータ皮下注20mg:60万8282円
クリースビータ皮下注30mg:91万1812円






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