抗悪性腫瘍剤「ギリアデル®」悪性神経膠腫の承認条件を解除 | 好奇心の扉

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エーザイ株式会社(本社:東京都文京区小石川)は9月2日、抗悪性腫瘍剤「ギリアデル®脳内留置用剤7.7mg」(一般名:カルムスチン)について、本剤の承認条件となっていた全例調査に関し、厚生労働省から解除の通達を受けた事を発表しました。
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「ギリアデル®脳内留置用剤7.7mg」は2012年9月に、悪性神経膠腫(あくせい・しんけいこうしゅ=glioma=グリオーマ)を効能・効果として承認され、その際の承認条件として「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」と言う条件が付されていた。
今回の承認条件解除は、エーザイ株式会社が厚生労働省に提出した安全性および有効性データ(安全性解析対象症例558例、有効性解析対象症例536例)に基づいて、本承認条件を満たすと判断されたことによるもの。
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悪性神経膠腫(しんけいこうしゅ=glioma=グリオーマ)は、脳に発生する悪性腫瘍(脳腫瘍)で、脳内のグリア細胞(神経細胞を取り囲み支えている細胞)から発生し、原発性脳腫瘍の中では神経膠腫がおよそ30%(転移性脳腫瘍は除く)を占める予後不良の悪性脳腫瘍です。

悪性神経膠腫

多くは脳内・脊髄内に拡がって発育(浸潤)することが特徴で、腫瘍の境界が不鮮明で、周辺部では正常な脳組織と腫瘍細胞が混在し、手術による全摘出が困難であるため、悪性の神経膠腫の5年生存率は、25%以下となっている。


悪性神経膠腫の標準的治療として、通常、外科的手術(開頭手術)が行われ、腫瘍を摘出しますが、浸潤による残存腫瘍が残り、これに対して多くの場合、術後に放射線治療や化学療法が行われます。



しかし、化学療法剤の全身投与では、血液脳関門により、有効成分が腫瘍部位では有効濃度まで十分に到達しないほか、全身的な副作用のため、十分量の化学療法剤を投与できない事が悪性神経膠腫の予後が悪い理由の一つに挙げられていました。


「ギリアデル®脳内留置用剤7.7mg」は、ニトロソウレア系アルキル化剤である『カルムスチン』を生体内分解性ポリマー基剤に含有した、国内で唯一の脳内留置用の徐放性製剤です。

悪性神経膠腫の開頭手術
ギリアデルの脳内留置


「ギリアデル®脳内留置用剤7.7mg」は、開頭手術で腫瘍を摘出したあと、残存腫瘍近辺に本剤を留置することにより、神経膠腫(しんけいこうしゅ)の切除術後から腫瘍細胞に直接、抗悪性腫瘍剤を一定期間にわたり効率よく、高濃度で触れさせられるため、術後療法(放射線療法、化学療法など)開始までの治療空白期を埋める事ができ、残存腫瘍縮小や増殖抑制効果を発揮する事が期待できる。




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