13 事態の検証 | あるハラスメントの告発

あるハラスメントの告発

ある市役所内で実際に起こった「係長の乱」に着想を得て執筆したもので、いわゆるバブル世代の市役所の管理職(バブル時代に市役所にしか就職できなかった人たち)と、一人の中堅市役所職員との壮絶な職場内バトルを綴ったものです。

 私が越智を人事課に通報し、あとは結果を待つだけというのは甘い考えだった。

 吉武課長から聞いた私を訴えた匿名の通報者は十中八九越智だろう。私の担当業務では個人情報などの取り扱いはないため、そのようなものを外部に漏洩することは絶対にあり得ない。情報システム課が私のパソコンを調べることに何ら恐れることはない。

 情報システム課の調査結果で私が処分を受ける可能性はほとんどない。この通報は単に私の信用を貶めることが目的であることは間違いがない。

 しかしながら、状況を考えると、通報の窓口である人事課の小裏課長は、これまで一度も受理したことがない内部通報を私が提出し、その数日後に初の通報者である私を訴える通報書が送られてきたことに違和感を覚えなかったのだろうか。

 吉武課長から聞いた話から推測すれば、私を訴えた通報の調査はだいぶ進んでいるようだ。つまり人事課は私の通報の調査より私への通報を優先して調べている可能性が高いということだ。

 また、越智が私に対するいわゆる反訴を起こすこととなった動機を考える必要がある。それは、私が越智を通報したことを越智が知ったからに違いない。

 それでは、どうやって越智は自分が通報されていることを知ることができたのか。

 人事課長の小裏、総務部長の田外、そして越智の動きがうっすらと見えてきた。

 今後、私の敵は3人になったということをしっかりと認識して闘う必要がある。

 部長の2人は市役所内のナンバーワンとナンバーツーの役職であり、人事課長は私の人事権を握っている。

 この連中と闘いを始めたからには、もう引き返すことはできない。



つづきます