PM11:30

無性に今読んでいる角田光代の空中庭園が読みたくなって地元のミスタードーナツに寄った。そこのミスドはかなり私のお気に入りの読書スポット。店内はとてもキレイで落ち着いた雰囲気。さらにホットカフェオレがおかわりが出来るのがとても嬉しい。店内にはウッディーな曲が小さい音量で流れていて、お客は12人。私を含めた10人は一人できていて、サラリーマンだったり大学生だったりOLだったり様々で、それぞれに勉強したり、パソコンをいじったり、読書をしたり各々自分のやるべき作業を行っている。


残りの2人は親子連れ。小学3年生くらいの男の子とお母さんであろう女性。 この二人はよくこの時間帯で見かける私と一緒の常連さん。初めて見た時は、4人がけのテーブルに向き合って座りたまにコミュニケーションをとりつつ黙々と読書をしていた。男の子の顔が本当に可愛く、間違いなくイケメンに育つだろうといったところでジロジロ見てしまい印象に残っている。まぁ、なにより夜遅い時間帯に幼い子どもが外出しているのはたとえ親がいても不自然。それもまるで毎日の当たり前な日常のように。

どんな家庭環境にあるのか凄い気になったのと男の子があまりにも可愛すぎて、カウンター席に座った親子に神経を集中させる。
「とんでもないです。はい、はい。よろしくお願いします。」ウッディーな店内BGMが遠のいて、耳を凝らすとお母さんの声が聞こえてくる。電話の
内容は仕事だと思う。そのお母さんの通話している横顔を目をそらさずずっと見つめている男の子。お母さんが電話をやめ、何か話している。何を話してるかまでは聞こえない。そして二人はいつもの如く本を読み出す。何分かしてお母さんが席を立ちトイレに向かった。少年はトイレの方にずっと目をやり出てくるまでトイレのドアをながめてた。まだまだ幼く無力だけど、精一杯にお母さんを思う気持ちが嫌でも伝わってくる。その肌はキレイでみずみずしくて、その瞳は澄んでいた。私も幼い頃は母が恋しく何よりも大切だったという感情を思い出した。そして幼いということ、若いということがどれだけ無力かを感じた。

AM 0:00

読んでる本が、一件なんら変哲もない幸せな家族だが実はそれぞれに秘密を抱えているという内容。一件幸せな家族が成立してても実はお父さん、お母さんが不倫をしているかもしれないし子どもが学校でいじめられてるかもしれない。幸せな家族ってそんな簡単なものじゃないから。そんな本を読みながら、本当に人それぞれにはドラマがあるなと改めて実感。
でもそのミスドにいる人達も、電車に乗ってるときに隣に座っている人も交わることのない別の世界の人であるように思えた。それぞれドラマある人間のはずなんだけど、、、。最近本当に全くの他人がみんな宇宙人に見える事がある。
距離がどんなに近くても、交わらない通り過ぎて行く人々。


0時をまわると、一人、また一人と店を出て行く。その場の空気感を共有していた近いようで遠い、遠いようで近い他人がそれぞれまた自分の、全くの別々の道を進んで行く。そして私も携帯を手に取り、Twitterを開いて、自分の世界を確認してお店をでる。

そんなミスド日和。