バッハのカンタータ147番「心と口と行いと命」のなかのコラール。

なぜか「主よ人の望みの喜びよ」と訳されているが、原題は「イエスはわが喜びであり続ける」といった意味。

 

<曲の構造>

曲は8分音符の伴奏の上に、コラールの旋律が歌われる。伴奏部分が類似した音型を繰り返す上に、合唱部分が断続的に挿入される。伴奏部分が延々と類似した音型が続くので、少々退屈になってしまいがちだが、途中、短調が入り込んだり、流麗なアルペジオが見られたりなど、それなりに聞かせどころはある。

 

<ギター演奏の工夫>

ギターで演奏するにあたっては、合唱部分と伴奏部分をいかにひき分けるかといったことも大事だし、ギターらしい聞かせどころをいかに作るかといったことも考えなくてはならない。後者については、編曲譜にはないのだが、数か所にポルタメントを入れたりテヌート個所を作ったり、また、伴奏だけの部分を微妙にスタッカートで演奏したりなど、工夫してみたので、だいぶ聞きごたえのある演奏になったかと思う。とくに終結部分のポルタメントと間の取り方は、なかなかの出来だと思う。

 

<楽器について>

前の投稿の「ロ短調ミサ」から、ベルナベという人が作ったギターを使い始めているが、このギターは、低音がドスンと響くので、こうしたドイツ的な音楽に向いていると思う。もともと使っていた楽器がアントニオ・マリンという人の楽器で、こちらは、つややかな高音が魅力の楽器であり、低音はやや物足りなさを感じるところもあったから、曲に応じて使い分けするとよさそうである。