バリオスが亡くなる2ヶ月ほど前に作曲された曲。最後のトレモロという題名はバリオスの楽譜を収集出版したベニーテスによる命名。原題の「神の愛への小さな施し」というのは、ベニーテスによって次のように解説されている。バリオスの音楽教室をたびたび訪ねて施しを受けていた老婆がいた。その老婆が、訪問の際に扉をたたく音、その音が、序奏の2小節と、その後の低音の音型のもとになったのだという。


曲は短調から長調に転調する形となるが、長調は全体の3分の1である。トレモロの有名な曲というとタルレガの「アルハンブラの思い出」があるが、そちらは短調と長調がほぼ1対1なので、それと比べると、こちらはややバランスが悪く感じる。


〈演奏のポイント〉

トレモロをなめらかに弾くこと、に尽きるのだが、低音が、響きを伸ばしにくい音型になっているので、それが曲全体の流暢さを妨げがちとなっている。可能な限り、指運びをなめらかにするなどしてカバーしていくことと、響きのよいホールで演奏する、といった対応になるだろう。