恋の形 | 矛盾SPIRAL

恋の形

ぶっちゃけ、“この人とエッチしたい”と思っていた人がいる。

今も少し思っている。

年下で独身の男の子。

急激に仲良くなったのと、いつもその子のことばかり考えていたのとで、

“わたしはこの子のことが好きなんじゃないか”と思っていた。

今でもちょっと思っている。

でも、“「エッチしたい”という欲求がかなりのウエートを占めているのだ。

そればっかりでできていると言ってもいいほど。



二人だけで逢ったことはないのだけど、少し前、そういう約束をしていた。

その子とはエッチなしで逢うことは考えられなかった。

それは相手も同じようだった。

もしもその子と身体の関係ができてしまったら、

彼に逢うことは断念するつもりだった。

そんな汚れた自分?で彼に逢いたくはなかったし、

その子と関係が続く間は忘れていられると思った。

そのときの“エッチしたい”願望はそのぐらい強いものだった。

その子とのセックスに嵌って完全に溺れる気がしていた。

思いきり好きになれる気もした。

それ自体狂っていたのかもしれない。



ところが、この計画もまた、とある事情でだめになったのだ。

逢う直前に、その子が足を捻挫してしまったから。

骨折しなかったのが不思議なほど酷い捻挫だったらしい。

“これもやっぱり逢うなってことなのかな”とわたしは思った。



その子の足もほぼ治り、次の約束を提案してくるけれど、今わたしは前ほど乗り気じゃない。

クッションを置いたことで少し冷めた目で考えられるようになったみたい。

それに、前の約束の日のような絶好?のチャンスはそうそうない。

1ミリでも旦那さんに疑われるようなリスクを冒したくはない。

今はその子にそこまでの思い入れはない。

まぁ相変わらずしたいことはしたいけど・・・(サル)



心の浮気と身体の浮気、どっちが罪なんだろうね。

あのままあの約束が果たされて、年下の男の子とのセックスに溺れたら、

わたしは本当にその子のことを心底好きになっていただろうか。

性の悦びが本気の恋に発展するのだろうか。

そんなことがあるのだろうか。



でも、どこまでいっても結局彼のことを完全に忘れることはない気がしている。

それは、年下の男の子との約束を心待ちにしていたときでさえぼんやりと思っていた。

“今度こそ忘れられる”と、もう何度思ったかわからない。

その予想はこれまでとことん裏切られてきたから。

“今度こそ忘れられる”と思っても、もうどこかでそんな自分を信じてはいない。

このままずっと逢えないとしても、きっと彼を忘れることはないんだろう。



心の浮気と身体の浮気、どっちが罪なんだろうね。