8月初旬、Newport でジャズフェスを堪能した僕は、さらにジャズ道を極めるため(?)
そのルーツへと向かいました。

ジャズ発祥の地といわれるNesw Orleansです。

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Nesw Orleansは、アメリカの都市の中では異色の街です。

フランス、スペインの植民地時代の街並みが残り、他の都市とは全く異なった景観をもちます。
…なんと言うか、とてもアメリカにいる気がしません。

街中では、昼間からたくさんのブラスバンドが、Sunny Side of the Streetや聖者の行進といったスイングジャズの名曲を大音量で奏でています。

そんな街並やストリートバンドを堪能しつつ街歩きを楽しみます…が、、

暑い。。

つい前日まで滞在していたNew England(NewportがあるRhode Island州やBostonのある東海岸北部の地域)の、冷涼な気候に慣れてしまった身体が、悲鳴を上げ始めます。

今思えばその後戻って来た東京の蒸し暑さよりは全然マシだったのですが…


さて、待ちに待った夜。

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伝統的なNew Orleansを保存するために設立された博物館的ライブハウス、Preservation Hallに向かいます。

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難解なモダンジャズとは全く違う、まだシンプルなダンスミュージックだったころのジャズが、ここにはありました。

エアコンがないので2割増しの暑さの中、熱い熱い演奏が繰り広げられました。
とにかく無条件に楽しい音楽。Newportで観た、Jon BatisteとDirty Dozen Brass Bandのことを思い出しました。
僕が知っている音楽マニア向けの音楽としてのジャズとは、異なる種類の音楽。
でも、大衆に受け入られるのは、今も昔もこういう音楽。
New Orleansのジャズは素晴らしいと思うけど、僕の気分は複雑でした。

そして…そんな複雑さを感じていたのは、おそらく僕だけではなかったはずです。

その夜Preservation Hallで演奏していたミュージシャンたちも同じだったと思うのです。

彼らは、現代に生きるジャズミュージシャン。
New Orleans Jazzではなく、モダンジャズを聴きながらジャズを覚えていったのです。

それは演奏の随所に現れていました。
Preservation Hallという場所の性質にあわせて、その時代のスタイルに合った演奏を心がけているけれど、即興のソロの随所にはモダンなフレーズが顔を出します。

そう、伝統音楽を本当に「保存(Preservation)」することなんて不可能なんです。

1つ1つの演奏が不可逆的で巻き戻しができないものであるのと同様、音楽の「様式」も
ソリッドなようで実はもっとぼやっとした、その時代その時代にしか表現できないものだと思うのです。

そんなことを考えさせられたNew Orleansの夜でした。
アメリカ音楽武者修行(?)の旅、今回は、8月の初めに行われたNewport Jazz Festivalです。

多くの名演を産んだ歴史あるこのフェス、ジャズファンで知らない人はおそらくいないと言ってよい、世界で数あるジャズフェスの中でも指折りの名物フェスです。

NYから電車で2時間、Rhode Island州の州都Providenceへとたどり着くと、さらにバスで1時間。
アメリカでも指折りの富豪たちが別荘を連ねる海辺のリゾート、Newportです。

Newportのダウンタウンから、ジャズフェスの行われるFort Adams州立公園までは、車で20分程度…

のはずだったのですが、これが大渋滞。

なので、フェリーに乗って海から州立公園に入ります。

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陸に上がると、そこには要塞!

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そう、Fort AdamsのFortとは、英語で「砦(とりで)」を意味するのです。
要塞に沿ってそそり立つメインステージ。

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…ということで、ここからは、2日間のフェスの模様、簡単にまとめてみたいと思います。
(某FBのポストとほぼ同じ内容です…すでにそちらを読まれた方、ごめんなさい…)

1日目

Michel Camilo Sextet→Bill Charlap→Wayne Shorter & Herbie Hancock →Robert Glasper→Rez Abbasi→Terence Blanchard→Edmar Castaneda→Esperanza Spalding→Gregory Potter→Lew Tabackin→Marcus Miller Wayne

Herbie & Wayneのメインステージ以外も素晴らしい演奏ぞろいだった1日目。
特筆すべきはRobert GlasperとEdmar Castanedaの2人。

Robert Glasperは、Wayne Shorter作曲のFallとかWitch Huntをクラブジャズ風にアレンジした演奏で大盛り上がり。

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そのWayne Shorter本人が同時間帯に別ステージで演奏していたにもかかわらず、そちらからも多くの聴衆(特に若い層)が流れて来ていて、ある意味本家を食っていました。

Edmar Castanedaは、何とハープ(!)でLatin Jazzを演奏、という 、もうそのコンセプトだけでも新鮮なのに、さらに鳥肌が立つほどの超絶技巧の持ち主。

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Autumn Leavesを速いテンポで延々とソロ演奏する様は鬼気迫るものがあり、僕の周りのお客さんたちも”Who’s that guy? He’s crazy!!”とみなさん衝撃を受けているようでした。

他にもTerence BlanchardのステージにHerbie Hancock が飛び入りしてWayne ShorterのFootprintsを演奏したり、日本では秋吉敏子の夫として知られる(?)Lew Tabackinのステージに 、何とRandy BreckerがTrumpetで参加していたり…気を張ってステージ間を駆け巡った甲斐があった、見所満載な1日目でした。

2日目

Jon Batiste & Stay Human→Jim Hall with Julian Lage→Joshua Redman→Dirty Dozen Brass Band→Dee Alexander→Chick Corea & The Vigil→Steve Coleman 3 Projects→上原ひろみトリオ(Anthony Jackson, Steve Smith→Eddie Palmieri→David Gilmore Numerology→Roy Haynes Fountain of Youth Dizzy Gillespie Big Band with Paquito D’Rivera

Jim Hallで粘りすぎた結果、Joshua Redmanをほとんど見逃すという幸先の悪いスタートとなった2日目。
とにかく客が盛り上がっていたのは小ステージのJon BatisteとDirty Dozen Brass Bandの2組。伝統的なスイングジャズをベースに、とにかくノリ重視、観客あおりが最優先のこの2組は、他のラインナップに難解な音楽も少なくない中、特に筋金入りのジャズ好きとまではいかないお客さんにとって、気楽に楽しめる貴重な存在だったようです。

その2組に負けない盛り上がりとなっていたのが、上原ひろみトリオ。

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息の長い速弾きコロコロフレーズ、クライマックスのフォルテッシモから突如メゾピアノにストンと落とす絶妙のダイナミクス…ため息とも歓声ともつかない声が聴衆から漏れ、その後やんやの拍手喝采、という場面が、演奏中に何度もありました。

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彼女は、聴衆が盛り上がるツボを心得ています…

他には、 御年88歳の大御所ドラマーRoy Haynesが、華麗なタップダンスを披露するなど元気な姿を見せてくれたのも嬉しかった…素早いステップにも揺るがない足腰、肌のハリつやからは、せいぜい60代かな?というのが見た目の印象で、90近いとはとても信じられません…


さて、熱い演奏が続く中、いつしか会場は夕暮れを迎えます。

海辺からは、カモメたちが観客の中へ…

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カモメも人々と一緒になってジャズを楽しんでいるかのようです。

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海、カモメ、古い要塞、ひたすら広がる広大な芝生、そしてジャズ。

日本でも野外フェスは色々ありますが、これほど美しいロケーションで行われているものはおそらくないでしょう。

というより、こんなロケーション、そもそも日本には見当たりません。。

これとは違う方向性で、日本の風景のよい部分をいかしたフェスってできないものなのでしょうかね…
ニューポートという「本物」に接してしまった今、正直、某海浜公園でやったりするのは何か違うよな~という気分です。。
先ほどまでDiceKEY quartetメンバーでディープ居酒屋紀行を堪能しておりました。

いや~日本の居酒屋は素晴らしい!

WATA??みたいな中途半端なチェーン居酒屋ばかりの国には、頼むからならないでくれ…


さて、そんな和風な話で始めておきながら、今日もアメリカでのお話です。

今年の6月、ユタ州で開催されたブルーグラスのフェスティバルに行って来ました。

場所は、ソルトレークシティから電車で1時間ほど、Ogdenという小さな街にある州立公園。

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川と豊かな木々、そしてキャンプ場。

恵まれた環境のど真ん中に、ステージはありました。


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大自然の真ん中で、アメリカの田舎の心、ブルーグラスに耳をすます。

もう最高の気分です。

お目当てはトリのThe Boxcarsというバンド↓だったのですが…



いや、すごいです。歌入りの曲もすごくいいので、もし興味をもたれたらチェックしてほしいのですが、この動画みていただければわかるように、一人一人のプレイヤーとしてのウデが、とにかくハンパじゃないのです。

僕の隣に座っていたおじいちゃんが、白人だらけの会場に紛れ込んだほぼ唯一の東洋人である僕を珍しがって、話しかけて来ました。

「キミは、ブルーグラスが好きなのかい?」

「まだ全然詳しくないけど、好きです。でも、実を言うとジャズの方が好きです。」

「ジャズ!面白いねえ…楽器は?」

「ピアノを弾きます」

「ジャズピアニストだったらねえ、Boxcarsのマンドリンはぜひ聴いていきなさい。あんなに速く弾けるプレイヤー、他にきいたことないよ!」

そんな会話を交わしつつ、僕はそのおじいちゃんと、おじいちゃんと一緒にキャンプをしていた孫娘(たぶん16歳くらいの超絶美人…)と一緒にBoxcarsのステージを堪能したのでした。

さてさて、楽しいライブも終わってOgdenの駅へと向かうシャトルバスを待っていたのですが…

来ない…

これは…もしやソルトレークシティに帰れないのでは!?

半分涙目状態の僕に救いの手が。

帰途につこうとしていた1台の車の窓が開きます。

「大丈夫?よかったら乗っていかない?」

30代前半くらいの素朴な美人の女性が、駅まで送ると言って僕をピックアップしてくれたのです。

「普段は知らない人は乗せないんだけど、大分困ってそうだったから…」

ハイ、正直途方に暮れてました。。

彼女によると、このブルーグラスフェスティバルは今年でまだ3回目ながら、毎年着実に入場者数を増やしており、今年はBoxcarsを最大の目玉としてさらなる集客をはかっていたとの事。

Boxcars、ブルーグラスの世界ではホントに大物なんですね…

結局、この女性もソルトレークシティまで帰るところだったということで、駅ではなく、僕の泊まっていたソルトレークシティのモーテルまで送っていただきました。
感謝に堪えないとはまさにこのこと、、いや、ありがたかったです。

きけば、この女性、かつては某有名投資銀行のNYオフィスでSEをしていたけど、今はセミリタイアで実家のあるユタ州のオフィスに転勤し、今に至っているのだとか。
ということで、NYのタクシードライバーの運転の荒さについての話題でひとしきり盛り上がりました。
いやはや世界は狭い…